REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Review

Review 50『ブックセラーズ』

本のラビリンスへ迷い込む悦楽の時間 文・福嶋真砂代 (C)Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved ニューヨーク(NY)最大のブックフェアを入り口に、稀少本(レアブック)のラビリンスへいざなうドキュメンタリー映画『ブックセラーズ』…

Review 49『春江水暖~しゅんこうすいだん』

古典と現代が溶けあう、壮大な人生の絵巻物 文・福嶋真砂代 ©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved ■春江の魚のスズキと、市井の人々 話題の『春江水暖~しゅんこうすいだん』がいよいよ日本公開に。中国の新鋭、グー・シャオガン監督の長編デビュー…

Review of "KANARTA: Alive in Dreams" (directed by Akimi Ota)

Sebastian sings, in concert with the universe Written by Masayo Fukushima Translated by Andreas Stuhlmann The Japanese premiere of “Kanarta: Alive in Dreams” as part of the “Visual Ethnography” program at the Tokyo Documentary Film Festiva…

Review 48『羊飼いと風船』

チベットの大草原に読み解く、過去、現在、未来 文:福嶋真砂代 (C)2019 Factory Gate Films. All Rights Reserved. 『気球』というタイトルで第20回東京フィルメックス(最優秀作品賞受賞)にて発表された本作は新しく『羊飼いと風船』とタイトルを変えて、…

Review 47『あのこは貴族』

さても聡明な女性は潔く、かっこいい 文・福嶋真砂代 ©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会 2021年2月劇場公開予定の『あのこは貴族』(第33回東京国際映画祭にて特別招待作品ワールドプレミア上映)。山内マリコの同名小説が岨手由貴子監督・脚…

Review 46『カナルタ 螺旋状の夢』(太田光海 監督・撮影・編集・録音)

セバスティアンがうたえば、森羅万象と交信がはじまる 『カナルタ 螺旋状の夢』の東京ドキュメンタリー映画祭2020<特集 映像の民族誌>におけるジャパンプレミア上映(2020/12/9)は満席となり、注目度の高さを伺わせた。監督の太田光海(おおたあきみ)は…

Review 45『メイキング・オブ・モータウン』

デトロイト発、モータウン初期13年の音楽記録 (C)2019 Motown Film Limited. All Rights Reserved 先日、米国の「ローリング・ストーン」誌が発表した2020年版「歴代最高のアルバム500」で1位に選ばれたのは、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オ…

Review 44『Daughters』

美しい季節、眩いばかりの彼女たち 文:福嶋真砂代 (C) 「Daughters」製作委員会 異色作『Daughters』(津田肇 脚本・監督)が現在公開中である。ルームシェアをしている若いふたりの女性、小春(三吉彩花)と彩乃(阿部純子)が主人公。それぞれイベントデ…

Review 43『死霊魂』

「そこで何が起きたのか?」悲劇の真実を探り記す、魂の旅 ©LES FILMS D’ICI-CS PRODUCTIONS-ARTE FRANCE CINÉMA-ADOK FILMS-WANG BING 2018 ●ワン・ビン独特の「意外性」にいざなわれて 中国のワン・ビン監督(以下、ワン・ビン)のドキュメンタリー『死霊…

Review 42『その手に触れるまで』

絶望のなかでも「人間の力」を信じて模索する、ダルデンヌ兄弟最新作 文:福嶋真砂代 © Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF ベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟の最新監督作『その手に触れるまで』は、新型コロナウイルスの…

Interview 013 想田和弘さん(『精神0』監督・製作・撮影・編集)

「なんで生きるんだろう?」そんな疑問を抱き続けてきた 想田和弘監督の観察映画第9弾『精神0』が「仮設の映画館(http://www.temporary-cinema.jp/)」にて公開中(配信中)だ。新型コロナウイルスで世界が騒然とする中、新作を携えて来日した想田さんに…

TIFF Report: 『わたしの叔父さん』(第32回東京国際映画祭 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

人間にとって大切なものを静かに問いかける北欧映画 取材・文:福嶋真砂代 © 2019 88miles 第32回東京国際映画祭コンペティション部門 東京グランプリの栄冠に輝いたのはデンマークユトランド地方を舞台にした『わたしの叔父さん』。フラレ・ピーダセン監督…

Review 41『37セカンズ』(第32回東京国際映画祭 Japan Now部門)

ユマの心意気がつくりだす優しいミラクル 文:福嶋真砂代 (C)37Seconds filmpartners 生まれた時に37秒間、呼吸が止まっていたことで身体に障害を負い、車椅子で生活する23歳のユマは、シングルマザーの母親とふたり暮らし。漫画家志望の彼女は友人のゴース…

Review 40『細い目』

金城武不在の“カネシロ映画”でヤスミン監督が見つめた「未来」とは 文:福嶋真砂代 「金城武」の引力でたどり着いた深いヤスミンの世界 2009年に51歳で急逝したマレーシアのヤスミン・アフマド監督の人気作品『細い目』(2005)は、これまでも特集上映や映画…

Review 39『ある船頭の話』レビュー& オダギリジョー監督インタビュー

桃源郷のような映像美にこもる深い思い @MasayoFukushima 「これが僕のひとつの答え」と語りだすまで、どれだけの痛みと試練を乗り超えたのだろうか。長編初監督作品『ある船頭の話』の公開を待つオダギリ ジョー監督に現在の心境を伺った。最近ではCMで演じ…

Review 38『ジョアン・ジルベルトを探して』

ボサノヴァの始祖、ジョアン・ジルベルトを求める旅 ©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018 アントニオ・カルロス・ジョビン(作曲家、ピアニスト)、ヴィニシウス・ヂ・モライス(作詞家)と共にボサノヴァを創始した、ブラジルの歌手、ギタリスト…

Review 37『僕はイエス様が嫌い』

ミニマルな語り口に宿る深い思慮、祈り ©︎2019 閉会宣言 公開中の『僕はイエス様が嫌い』(英語タイトル「JESUS」)は、弱冠22歳(制作当時)の奥山大史(おくやまひろし)が監督、脚本、撮影、編集を手がけた長編デビュー作。第19回東京フィルメックスに出…

Review 36『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

ニューヨーカー気分で体験する“進化系図書館” © 2017 EX LIBRIS Films LLC – All Rights Reserved 本作が42本目のドキュメンタリー作品となる巨匠監督、フレデリック・ワイズマンが誘(いざな)うのは、超有名な観光スポットでもある「ニューヨーク公共図書…

Review 35『ワイルドツアー』

© Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM] RealTokyoに『ワイルドツアー』レビューを寄稿しました。 「青春のきらめく瞬間(トキ)をつかまえて」 山口県山口情報芸術センター[YCAM]、磯崎新設計による建物の流線型の屋根の上を若者たちがスイスイ歩き…

Review 34 『マイ・ブックショップ』

コイシェ監督が共感した「自分らしさ」貫く女性の生き方 © 2017 Green Films AIE, Diagonal Televisió SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd. 映画の原作、ペネロピ・フィッツジェラルドの小説「The Bookshop」を読んだイザベル…

Review 33『バハールの涙』

©2018 – Maneki Films – Wild Bunch – Arches Films – Gapbusters – 20 Steps Productions – RTBF (Télévision belge) RealTokyoに『バハールの涙』レビューを寄稿しました。 「ヤズディの女性たちの恐怖と苦痛から目を背けてはならない」 実話に基づいて作…

TIFF Report :『三人の夫』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

香港からひとりの女優の強烈すぎる誕生を目撃 取材・文:福嶋真砂代 ©Nicetop Independent Limited 『ドリアン、ドリアン』(2000)、『ハリウッド★ホンコン』(2001)に続く、香港のフルーツ・チャン監督の「娼婦三部作(売春三部作とも)」を締めくくる『三…

Review 32『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』

タンゴの革命者、アストル・ピアソラの生涯を描く ©Daniel Rosenfeld /© Juan Pupeto Mastropasqua タンゴのバンドネオン奏者、作曲家アストル・ピアソラ(1921〜1992)の生涯を描いたドキュメンタリー映画が公開中だ。ピアソラは幼少期にニューヨークへ移…

Review 31 『エリック・クラプトン~12小節の人生~』

エリック・クラプトンを描く音楽ドキュメンタリー © BUSHBRANCH FILMS LTD 2017 夏にレコード屋でたまたま見つけたのがエリック・クラプトンのアルバム『LIFE IN 12 BARS』。映画『エリック・クラプトン 12小節の人生』のサントラ盤だった。彼の音楽人生の前…

TIFF Report :『ブラ物語』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー

字幕も翻訳もいらない、本当の意味でユニバーサルな映画が実現した ーー取材・文:福嶋真砂代 ©2018 Veit Helmer – Filmproduktion, Theo Lustig ©2018 Theo Lustig 空から舞い降りていく鳥のように、優しいバイオリンの響きに乗って、高原の小さな街に近づ…

Review 30 『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

© 2015 Moulins Films LLC All Rights Reserved RealTokyoに『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』レビューを寄稿しました。 「町が、世界が、ここに凝縮されて呼吸する」 フレデリック・ワイズマン監督が撮るニューヨーク、クィーンズのジャクソン…

Review 29『愛と法』

均質社会に問う、多様化に向かう覚悟と準備は? (C)Nanmori Films ドキュメンタリー映画『愛と法』は、大阪で「なんもり法律事務所」を経営する弁護士の南和行(カズ)と吉田昌史(フミ)が主人公。仕事でもプライベートでも共にパートナーであり、瀟洒な…

Review 28『オーケストラ・クラス』

音楽は素晴らしい。自由と希望の力をチャージする © 2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINÉMA / LA CITÉ DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS 遠くにエッフェル塔が見えるパリのビルの屋上で熱心にバイオリンを練習する少年、アーノルド。西ア…

Review 27『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス』

キューバの世界的音楽家集団よ、永遠に! © 2017 Broad Green Pictures LLC 米国の世界的音楽家ライ・クーダーが1996年にキューバに行き、ベテラン・ミュージシャン達と制作したアルバムが『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(以下BVSC)で、BVSCは彼等の…

Review 26『ユートピア』

仮想現実とこの世界はこうやってリアル融合する (C) UTOPIA TALC 2018 現在、下北沢トリウッドにて公開中のSFファンタジー映画『ユートピア』。伊藤峻太監督(『虹色☆ロケット』(2007))が、監督のほかに、脚本、編集、VFX、主題歌の作詞作曲を手がけてい…