REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Review 59『リスペクト』

ソウルの女王、アレサ・フランクリンを描く音楽ドラマ

文・フジカワPAPA-Q

f:id:realtokyocinema:20220104155537j:plain

(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

米国の「ローリング・ストーン」が9月に発表した「歴代最高の500曲」というランキングで第1位に輝いた曲は、ソウルの女王、アレサ・フランクリン(1942年3月25日、メンフィス~2018年8月16日、デトロイト)が歌う「リスペクト」(1967年発表)だ。そして、アレサの映画といえば、ゴスペル記録映画『アメイジング・グレイス』に続くのが、この『リスペクト』という伝記ドラマ。主演は、アレサ本人が指名した、1981年シカゴ生まれの歌手で女優のジェニファー・ハドソン。子供の頃から教会のゴスペル隊や劇団に参加し、映画デビューの2006年の『ドリームガールズ』でアカデミー賞助演女優賞、歌手として2008年に初アルバムを出している。

映画は、バプティスト派の著名な説教師の父親のもと歌の神童と呼ばれた少女時代から始まり、1961年からコロンビア・レコード(制作者ジョン・ハモンド)でアルバムを出すもヒットに至らず…。66年にアトランティック・レコード(制作者ジェリー・ウェクスラー)に移籍、アラバマ州マスル・ショールズのフェイム・スタジオに行って、現地の腕利きミュージシャンと南部のR&Bサウンドを導入して録音(この場面は最高!)、1967年発表の『貴方だけを愛して』(「リスペクト」も収録)が大ヒットしてソウル歌姫が誕生する。そして、ソウルの貴婦人として世界的に活躍し、原点確認となる1972年のゴスペルのライヴの場面も出てくる。

f:id:realtokyocinema:20220104160021j:plain

(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

アレサの歌は、当時の公民権運動、女性解放運動とも共振し、マイノリティへの普遍性を持つ応援歌ともなった。一方、私生活では父親の束縛、夫のDVに苦しむが、やはり歌う事によって自分を自由にする、救うと確信して、音楽の道を進んで行く。南アフリカ出身の女性監督リーズル・トミーは「世界で最も素晴らしい声を持ちながら、その声が何であるかをまだ知らない女性の話を語りたいと思った」と発言している。比類なき声を持つ一人の歌手の歌に耳を傾けよう。なお、ジェニファーが歌うサントラ盤には劇中に流れる18の名曲が収められ、アレサの歌が現代にアップデートされており必聴だ。

Information:

監督:リーズル・トミー
キャスト:ジェニファー・ハドソンフォレスト・ウィテカーマーロン・ウェイアンズオードラ・マクドナルド、ほか

原題:Respect
配給:ギャガ
2021年製作/146分/G/アメリ

2021年11月5日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

realtokyocinema.hatenadiary.com