REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Interview 015 吉開菜央さん(『Shari』監督・出演)

あわよくば、私の吠える声がオホーツク海に届いてほしいと思った 取材・文:福嶋真砂代 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa 知床・斜里で撮影した初長編監督映画『Shari』が公開となる吉開菜央さんにインタビューした。ダンサー、振付家、映画監督と幅…

Review 58『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

忘れられた50年前のNYハーレムのフェスが今甦る 文・フジカワPAPA-Q © 2021 20th Century Studios. All rights reserved. これは驚きだ!何と、50年以上も前に撮影されていた幻の音楽フェスの映像が遂に甦ったのだから。1969年の暑い夏、ウッドストック・フ…

Review 57『HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版』 

オリヴィエ・アサイヤスにしか撮れない「侯孝賢」の素顔 文・福嶋真砂代 (C) TRIGRAM FILMS, All rights reserved フランスの映画監督オリヴィエ・アサイヤスが台湾の名匠監督ホウ・シャオシェン(侯孝賢)に密着し、ホウ監督の映画制作への原動力とホウ・シ…

Review 56『大地と白い雲』

もうひとつの「地平線」を探して 文・福嶋真砂代 ©️2019 Authrule(Shanghai)Digital Media Co.,Ltd,Youth Film Studio ALL Rights Reserved. 公開中の映画『大地と白い雲』の始まりがおもしろい。妻のサロールがバイクに乗り夫を探す。口々に「チョクト」が…

Review 55『83歳のやさしいスパイ』(レビュー&TIFF公式 監督インタビュー)

意表をつく“スパイ映画”に心ほっこり 文・福嶋真砂代 (C)2021 Dogwoof Ltd - All Rights Reserved ドキュメンタリー映画で国際的評価の高いチリのマイテ・アルベルティが監督・脚本を手掛けた『83歳のやさしいスパイ』(第33回東京国際映画祭ワールド・フォ…

Review 54『アメイジング・グレイス /アレサ・フランクリン』

ソウルの女王が歌う1972年のゴスペル・ライヴ 文・フジカワPAPA-Q 2018(C)Amazing Grace Movie LLC ソウルの女王、アレサ・フランクリンは、1942年3月25日にメンフィスで生まれ、2018年8月16日にデトロイトで76歳で亡くなった。1960年代後半から、世俗音楽の…

Review 53『逃げた女』

なぜホン・サンスはクセになるのか? 文・福嶋真砂代 (C)2019 Jeonwonsa FilmCo. All Rights Reserved 「ホン・サンスはクセになる」といわれる。なぜだろう。そこには熱狂というような激しい感覚より、ジワジワくる低温性の熱を帯びる感触がある。そんなホ…

Review 52『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』

こころ震える、香港を愛するデニスのうた 文・福嶋真砂代 ©Aquarian Works, LLC 第21回東京フィルメックス(特別招待作品)にてジャパンプレミアされたドキュメンタリー『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』が劇場公開になる。香港「雨傘運動」に参加し…

Review 51『茜色に焼かれる』

自転車をこぐ良子の背中に自分を重ねていた 文・福嶋真砂代 ©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ 「まあがんばりましょう」そう言うことで「大丈夫よ」を演じているような主人公の田中良子(尾野真千子)は、中学生の一人息子純平(和田庵)を育て…

Review 50『ブックセラーズ』

本のラビリンスへ迷い込む悦楽の時間 文・福嶋真砂代 (C)Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved ニューヨーク(NY)最大のブックフェアを入り口に、稀少本(レアブック)のラビリンスへいざなうドキュメンタリー映画『ブックセラーズ』…

Info 『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』作品評掲載のお知らせ

(C)2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト(VIPO、カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド) 池田暁監督の『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』は昨日(3/26)公開。鼎談「前原滉×きたろう×池田暁監督」と共に拙作品評「未来の選択…

Review 49『春江水暖~しゅんこうすいだん』

古今が溶けあう、壮大な人生の絵巻物のはじまりはじまり 文・福嶋真砂代 ©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved ■春江の魚のスズキと、市井の人々 話題の『春江水暖~しゅんこうすいだん』がいよいよ日本公開に。中国の新鋭、グー・シャオガン監督の…

2020年 わたしの10大イベント「CINEMA10」

新年恒例のREALTOKYO CINEMA (RTC)の「CINEMA10」(シネマテン)は5回目になりました。おなじみのメンバー7名(澤隆志、石井大吾、松丸亜希子、前田圭蔵、白坂由里、フジカワPAPA-Q、福嶋真砂代:原稿到着順)が、2020年に観た映画からそれぞれ選ぶ推しの…

Review of "KANARTA: Alive in Dreams" (directed by Akimi Ota)

Sebastian sings, in concert with the universe Written by Masayo Fukushima Translated by Andreas Stuhlmann The Japanese premiere of “Kanarta: Alive in Dreams” as part of the “Visual Ethnography” program at the Tokyo Documentary Film Festiva…

Review 48『羊飼いと風船』

チベットの大草原に読み解く、過去、現在、未来 文:福嶋真砂代 (C)2019 Factory Gate Films. All Rights Reserved. 『気球』というタイトルで第20回東京フィルメックス(最優秀作品賞受賞)にて発表された本作は新しく『羊飼いと風船』とタイトルを変えて、…

Review 47『あのこは貴族』

さても聡明な女性は潔く、かっこいい 文・福嶋真砂代 ©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会 2021年2月劇場公開予定の『あのこは貴族』(第33回東京国際映画祭にて特別招待作品ワールドプレミア上映)。山内マリコの同名小説が岨手由貴子監督・脚…

Review 『カナルタ 螺旋状の夢』(太田光海 監督・撮影・編集・録音)

セバスティアンがうたえば、森羅万象と交信がはじまる 『カナルタ 螺旋状の夢』の東京ドキュメンタリー映画祭2020<特集 映像の民族誌>におけるジャパンプレミア上映(2020/12/9)は満席となり、注目度の高さを伺わせた。監督の太田光海(おおたあきみ)は…

Review 46(TIFF): 『ムクシン』[4Kデジタル修復版](第33回東京国際映画祭 ワールドフォーカス部門)

どうしたら傷を癒し、許し合い、また共生できるのか 文・福嶋真砂代 第33回東京国際映画祭(TIFF2020)はコロナ禍で規模を縮小して、タイトな感染防止管理のもとなんとか無事に開催された。そんななか、心温まる伝説の作品、ワールドフォーカス部門にて上映…

Interview 014 小森はるかさん(『空に聞く』監督・撮影・編集)

陸前高田の、とおい未来のこどもたちにも見てほしい @realtokyocinema2020 小森はるか監督へのインタビューは、長編デビュー作『息の跡』から3年半ぶりとなる。最新作『空に聞く』は、COVID-19で世界がひっくり返る寸前の、第12回恵比寿映像祭(「時間を想…

Review 45『メイキング・オブ・モータウン』

デトロイト発、モータウン初期13年の音楽記録 (C)2019 Motown Film Limited. All Rights Reserved 先日、米国の「ローリング・ストーン」誌が発表した2020年版「歴代最高のアルバム500」で1位に選ばれたのは、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オ…

Review 44『Daughters』

美しい季節、眩いばかりの彼女たち 文:福嶋真砂代 (C) 「Daughters」製作委員会 異色作『Daughters』(津田肇 脚本・監督)が現在公開中である。ルームシェアをしている若いふたりの女性、小春(三吉彩花)と彩乃(阿部純子)が主人公。それぞれイベントデ…

Review 43『死霊魂』

「そこで何が起きたのか?」悲劇の真実を探り記す、魂の旅 ©LES FILMS D’ICI-CS PRODUCTIONS-ARTE FRANCE CINÉMA-ADOK FILMS-WANG BING 2018 ●ワン・ビン独特の「意外性」にいざなわれて 中国のワン・ビン監督(以下、ワン・ビン)のドキュメンタリー『死霊…

Review 42『その手に触れるまで』

絶望のなかでも「人間の力」を信じて模索する、ダルデンヌ兄弟最新作 文:福嶋真砂代 © Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF ベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟の最新監督作『その手に触れるまで』は、新型コロナウイルスの…

Interview 013 想田和弘さん(『精神0』監督・製作・撮影・編集)

「なんで生きるんだろう?」そんな疑問を抱き続けてきた 想田和弘監督の観察映画第9弾『精神0』が「仮設の映画館(http://www.temporary-cinema.jp/)」にて公開中(配信中)だ。新型コロナウイルスで世界が騒然とする中、新作を携えて来日した想田さんに…

Report: 『春江水暖』Q&A(東京フィルメックス2019、コンペティション)

ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン監督の“映画遺伝子”受け継ぐ中国の新星 第20回東京フィルメックスで観た作品の中で特に印象深かったのは、グー・シャオガン監督の長編デビュー作『春江水暖』(審査員特別賞受賞)でした。浙江省杭州市の富陽を舞台に、…

2019年 わたしの10大イベント「CINEMA10」

REALTOKYO CINEMA(RTC)は4年目を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。さて年頭の恒例行事「わたしの10大イベント - CINEMA10」(シネマテン)を発表します。「2019 RTC CINEMA10」では建築家の石井大吾さんを新メンバーに迎えてパワーアップ! 映…

Interview ロウ・イエ監督(『シャドウプレイ』『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』):東京フィルメックス2019

アーティストの使命は信念を持って前へ進み続けること (c) DREAM FACTORY, Travis Wei 第20回東京フィルメックスのオープニング『シャドウプレイ』のために来日したロウ・イエ監督にインタビューした。合わせて特別招待作品として上映された『夢の裏側~ドキ…

TIFF Report: 『わたしの叔父さん』(第32回東京国際映画祭 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

人間にとって大切なものを静かに問いかける北欧映画 取材・文:福嶋真砂代 © 2019 88miles 第32回東京国際映画祭コンペティション部門 東京グランプリの栄冠に輝いたのはデンマークユトランド地方を舞台にした『わたしの叔父さん』。フラレ・ピーダセン監督…

Review 41『37セカンズ』(第32回東京国際映画祭 Japan Now部門)

ユマの心意気がつくりだす優しいミラクル 文:福嶋真砂代 (C)37Seconds filmpartners 生まれた時に37秒間、呼吸が止まっていたことで身体に障害を負い、車椅子で生活する23歳のユマは、シングルマザーの母親とふたり暮らし。漫画家志望の彼女は友人のゴース…

TIFF Report: 『タイトル、拒絶』(第32回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門)Q&A

デリヘル舞台裏を描く、愛と葛藤の群像劇 取材・文:福嶋真砂代 @DirectorsBox その言葉とは裏腹に、吸引力バツグンに魅力的なタイトルの本作は、劇団「□字ック」(ロジック)主宰の山田佳奈監督が6年前に舞台のために書き上げた脚本を映画化した、長編監督…