REALTOKYO CINEMAはおかげさまで3年目を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。そしてすっかり年頭の恒例行事になった「CINEMA10」の発表です。今回もさまざまなフィールドで活動する6人の旧RealTokyoメンバーが、2018年に観た映画から心に残る10本を厳選しました。激動の1年間を振り返りつつ、平成ラストのCINEMA10を、原稿到着順にお届けします。よい意味でバラバラ、だけど実に味わい深いセレクトではないかと思います。どうぞお楽しみ下さい。
2018 RT CINEMA 10
★澤 隆志の2018 CINEMA10
- 『マウンテン・プレイン・マウンテン (恵比寿映像祭)』https://www.yebizo.com/jp/program/detail/2018-04-02
- 『君の名前で僕を呼んで』http://cmbyn-movie.jp/
- 『フロリダ・プロジェクト』 http://floridaproject.net/
- 『外国人よ、出て行け!』 (イメージフォーラム・フェスティバル2018) http://www.imageforumfestival.com/2018/program-s7
- 『この素晴らしいケーキ!』 (イメージフォーラム・フェスティバル2018) http://www.imageforumfestival.com/2018/program-k
- 『タクシー運転手』http://klockworx-asia.com/taxi-driver/
- 『きみの鳥はうたえる』http://kiminotori.com/
- 『僕の帰る場所』https://passage-of-life.com/
- 『Long Day's Journey into Night (仮)』https://filmex.jp/2018/program/competition/fc08
- 『完璧なドーナツをつくる』https://www.kyunchome.com/donut
コメント:難民ー移民ー国民の解釈と共生があいまいな日本に国内外の様々な「声」が突きつけられた印象が強かった。(4、5、8、10)男と女の間に”ヴァカンス”という性があると言わんばかりの2、外国人と日本人の共同監督でコミュニティに切り込み字幕とセリフの差異まで料理するカタコト映画の1、飯を食うソン・ガンホに萌えつつ光州事件が1980年というのも驚愕の6、A24フィーバーの中、子供達の圧倒的な演技と豊かなサントラが突出の3、染谷将太、石橋静河、なにより柄本祐のいい声が際立つ7、ケレン味全開の前半、執念の1ショット3Dの後半と威勢のいい9は、中国本土でまさかのデートムービーとか。観客が一番エクスペリメンタル!
★前田圭蔵の2018 CINEMA10
- 『雨にゆれる女』http://www.bitters.co.jp/ameyure/
- 『ラッキー』https://www.uplink.co.jp/lucky/
- 『万引き家族』https://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/
- 『あなたはわたしじゃない』http://keishichiri.com/jp/events/anatawatashi/
- 『Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』http://robertfrank-movie.jp/
- 『顔たち、ところどころ』https://www.uplink.co.jp/kaotachi/
- 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ アディオス』https://gaga.ne.jp/buenavista-adios/
- 『嘘をつく男』http://www.zaziefilms.com/arg2018/index.html
- 『生きてるだけで、愛』http://ikiai.jp/
- 『ボヘミアン・ラプソディ』http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
コメント:映画を見るのが大好きなのに、こうして振り返ってみると、昨年は全然映画館に通えなかった。特に、アジア各国の監督の映画は、見逃した作品がたくさんある。月並みかも知れぬが、高校の先輩でもある是枝裕和監督のカンヌ受賞作は、監督の一貫した眼差しが結実したほんとうに良い作品だった。細野晴臣の音楽も出色だった。文科相の祝意を「公権力とは距離を保ちたい」と辞退した是枝氏の姿も印象的だった。貧富の差の拡大や、#MeToo運動などに象徴される社会における様々な「不理解」と「分断」の構図。「世界」はひとつであるのに「社会」は決してひとつなんかではないという現実とどう向き合うか。そんな問い掛けを胸に秘めつつ、今年こそはもっと映画を見ようと誓うのである。
★松丸亜希子の2018 CINEMA10
- 『港町』http://minatomachi-film.com/
- 『友罪』https://gaga.ne.jp/yuzai/
- 『万引き家族』https://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/
- 『ザ・スクエア 思いやりの聖域』http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/
- 『それから』http://crest-inter.co.jp/sorekara/
- 『海を駆ける』http://umikake.jp/
- 『寝ても覚めても』http://netemosametemo.jp/
- 『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』http://child-film.com/jackson/
- 『生きてるだけで、愛。』http://ikiai.jp/
- 『ハード・コア』http://hardcore-movie.jp/
コメント:新潟県長岡市に移住して5年目に突入。かつて通い詰めていた試写や映画祭への未練も薄れつつあり、市内唯一のシネコンと県内2軒のミニシアターをはしごして、ちびちびと、じっくりと映画を味わっています。この10本は劇場で観た順で、観賞本数は少ないながらも2018年もたくさんの傑作と出会うことができました。想田監督との新潟での再会という僥倖にも感謝。動画配信で手軽に映画見放題の時代だからこそ、今年も劇場に足を運ぶことを諦めずにいたい。そう胸に刻み、毎年恒例のCINEMA10に参加できる喜びを噛み締めています。
★白坂由里の2018 CINEMA10
- 『僕の帰る場所』https://passage-of-life.com/
- 『フロリダ・プロジェクト』http://floridaproject.net/
- 『ワンダーストラック』http://wonderstruck-movie.jp/
- 『正しい日 間違えた日』http://crest-inter.co.jp/tadashiihi/
- 『きみの鳥はうたえる』http://kiminotori.com/
- 『デトロイト』http://www.longride.jp/detroit/
- 『スリービルボード』http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/
- 『マイ・フォークス・イン・ジェイド・シティ』/『リターン・トゥ・ビルマ』(恵比寿映像祭2018)https://www.yebizo.com/jp/program/detail/2018-04-04
- 『With Friction, As Friction』(イメージフォーラム・フェスティバル2018)http://sanaeyamada.com/WithFrictionAsFriction.html
- 『ZEN FOR NOTHING〜何でもない禅』http://silentvoice.or.jp/works/zenfornothing/
コメント:1.2.3は移民や貧困、ままならぬ身体や現状を抱えた子どもたちが、友達と駆け出す姿に。どんな場所にもある笑いや遊び、悲しみで掠れた言葉。その対比を色彩や光と影で表す。3はミュージアムが“居場所”になる。4.5は“今”に率直で、または“今”を見送り、傷つき、修復する大人たちに。6は容赦なく理不尽だが、歌に救いあり。7は瀕死から寝返る“チキチータ”警官に希望が。8はミャンマーの労働者を描くミディ・ジーの視線が優しい。カラオケシーンがそのまま映画音楽になる。9は新潟県十日町市松之山の雪ほり(雪下ろし)を撮影した山田沙奈恵の映像。骨が折れるが、自然とともにある労働。雪の音。雪面に反射する光。10は「みちのおくの芸術祭」で旅ごと体感。
★フジカワPAPA-Qの2018 CINEMA10
- 『ラスト・ワルツ』https://lastwaltz.net-broadway.com/
- 『ラジオ・コバニ』https://www.uplink.co.jp/kobani/
- 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』https://gaga.ne.jp/buenavista-adios/
- 『オーケストラ・クラス』http://www.orchestra-class.com/
- 『テル ミー ライズ』http://tellmelies.jp/
- 『ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪』http://peggy.love/
- 『華氏119』https://gaga.ne.jp/kashi119/
- 『エリック・クラプトン 12小節の人生』http://ericclaptonmovie.jp/
- 『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』https://piazzolla-movie.jp/
- 『私は、マリア・カラス』https://gaga.ne.jp/maria-callas/
コメント:1:公開40周年記念デジタルリマスター版。爆音で! 2:ラジオのスタジオでのウードの演奏は希望の音だ。 3:続編にして最終作。ベテランから若手へ音楽継承。 4:監督と同じパリの移民の少年少女が演奏会を目指してバイオリンを学ぶ。音楽への信頼が素敵。 5: 1967年制作のベトナム反戦映画。本邦初公開!? 6:ヒップな富豪女性が様々な美術家をNY、パリ等で援助する痛快譚。 7:米国や世界の状況を見て多彩な人々が発言し行動する。赤いバンダナはイカす! 8:幼少期~現在までの音楽人生を大胆に描く。 9:ピアソラの実の息子の視点で父親の生涯を描く。 10:マリアとカラスの相克を本人が深く語る。歌が切なくて涙。(リストは公開順)
★福嶋真砂代の2018 CINEMA10
- 『ライオンは今夜死ぬ』http://www.bitters.co.jp/lion/
- 『港町』/『ザ・ビッグハウス』http://minatomachi-film.com/> http://thebighouse-movie.com/
- 『友罪』https://gaga.ne.jp/yuzai/
- 『きみの鳥はうたえる』http://kiminotori.com/
- 『ゲンボとタシの夢見るブータン』https://www.gembototashi.com/
- 『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』http://child-film.com/jackson/
- 『泳ぎすぎた夜』http://oyogisugitayoru.com/
- 『ガザの美容室』https://www.uplink.co.jp/gaza/
- 『ポルトの恋人たち 時の記憶』http://porto-koibitotachi.com
- 『オンネリとアンネリのふゆ』https://www.onnelianneli.com/
コメント:諏訪敦彦とジャン=ピエール・レオーの実験的南仏ランデブー(1)。神秘的なモノクロ映像で観察を超えた前者と後者のアメリカ社会システムの痛快観察の対比(2)。瑛太はどこまで怪演を極めるのか!(3)。三宅唱の作る佐藤泰志の新しい世界観(4)。“幸福な国”の現実を兄妹を通して見せてくれた若い才能たち(5)。ワイズマン、ワイズマン!(6)。雪景色と少年の完璧な構図(7)。ガザ日常のリアル体験(8)。ポルトガルギマランイスと柄本&中野との驚きの親和性(9)。フィンランド児童文学の最高の映像化(10)。(付録)TIFFとFILMeXは豊作。個人的グランプリはそれぞれ『三人の夫』、『自由行』でした。(リストは順不同)
●選者プロフィール:
過去の「CINEMA10」
realtokyocinema.hatenadiary.com
realtokyocinema.hatenadiary.com