RealTokyoに『バハールの涙』レビューを寄稿しました。
「ヤズディの女性たちの恐怖と苦痛から目を背けてはならない」
実話に基づいて作られた。イラク北部のヤズディ教徒の女性たちに降りかかった恐怖と苦痛。2014年8月のIS(イスラミックステート)の侵攻により彼らに起きた悲劇は想像を絶する。2018年ノーベル平和賞共同受賞者のナディア・ムラドは自身の恐ろしい体験を語ることで、いまだ安否不明の多くの人々の救済を訴える。ナディアはまさにエヴァ・ウッソン監督が取材した女性たちの代表者であり、“バハール”と言えよう。
砲弾飛び交う紛争の最前線。ISと戦うクルド人部隊の女性兵士バハールと、片眼の戦争記者マチルドが出会うところから映画が始まる。『パターソン』での可憐な美しさが印象的なゴルシフテ・ファラハニが、一転して兵服に身を包む孤高の兵士バハールを演じる。夫と息子と幸せな家庭を築いていた弁護士バハールがクルド人自治区へ家族で里帰りした夜、ISの襲撃を受け、悲劇が始まった。村の成人男性はことごとく殺害され、女性と少女は拉致、あげく性的奴隷として売買され、少年たちはIS戦闘員養成学校へ送られた。バハールも何回も売られ、夫は殺され、息子は行方不明となった……。
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