REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

2024年 わたしの10大イベント「CINEMA10」

REALTOKYO CINEMA(RTC)は9年目を迎えました。去年元旦の地震から復興ほど遠い奥能登の被災地、あるいは遠く世界の紛争地に思いを寄せ、1日でも早く日常が戻ることを祈る年明けです。さて、新年恒例のRTC CINEMA10」は9回目。Realtokyoゆかりのいつものメンバー7人(澤隆志、石井大吾、松丸亜希子、前田圭蔵、白坂由里、フジカワPAPA-Q、福嶋真砂代)が、ジャンル、上映スタイル、公開年を問わず、2024年に観た映画・映像作品のなかから選りすぐりの10本をそれぞれリストアップしました。いつもながらバラエティに富んだ10選をお楽しみいただければ幸いです。2025年もRTCは映画とともにゆるゆると進み続けたいと思います。よろしくおつきあい下さい。

※「はてなブログ」仕様によるアンダーバー+リンクはRTCの意図とは関係なく、無視しつつお読みいただければ幸いです。

<2024 RTC CINEMA10>
★澤 隆志の2024 CINEMA10

コメント:山峰潤也氏のご冥福をお祈りいたします。
新春から香港在住作家のインタレーションとLA在住作家の上映が重なって苦労はあったけど海外の情報交換と楽しい呑みができました。夏はタイでディープな芸術祭内に“仮設映画館"で飛び入り参加。秋冬はドイツと日本の作家による映像とパフォーマンスのブリッジが試せました。というわけで、投影されるものとその空間、そこにいる観客導線を考えていると、拝見する作品の形式の区別はますます溶けていくのでした….。
映画は娯楽や芸術である前に錯覚である。ということをインストールの日下竜吾さんチームに再認識させてもらえました。(1)また、3セット3プレイのイケそうでイケないイケズな構成(とBGMの切り方)は、2024年ぶっちぎりで心を動かされました!(6) ※順位に意味はありません。

  1. マティス 自由なフォルム」のロザリオ大聖堂https://www.nact.jp/event/2024/005434.html
  2. 『ザ・ペンギン』https://video.unext.jp/title/SID0148753
  3. 『15グラムの記憶 』https://www.imageforum.co.jp/cinematheque/1074/index.html
  4. 『ソウルの春』https://klockworx-asia.com/seoul/
  5. 『I./II./III.』http://www.imageforumfestival.com/2024/program-m
  6. 『チャレンジャーズ』https://wwws.warnerbros.co.jp/challengers/
  7. 『ウイニング・タイム1&2』https://video-share.unext.jp/video/title/SID0071172
  8. 『MaXXXine』https://www.imdb.com/title/tt22048412/
  9. 『Why?』https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/keiichitanaami/
  10. 『どうすればよかったか?』https://dosureba.com/
★石井大吾の2024 CINEMA10

コメント:あらゆる表現において、初期衝動とも言える作品がとても好きです。情熱、飢え、不安、迷い、様々な感情を乗り越えて生み出されたものには強いエネルギーが纏っています。自らの初期作品のクオリティこそが、最大の壁という表現者も少なくないのではないでしょうか。各ステージごとの最大の表現活動を継続することは全ての表現者たちの永遠の課題でしょう。2024年はそんなことを思うことの多い年でした。だからこそ、継続する人々を尊敬しますし、高められていく表現に感動します。「夜明けのすべて」は三宅唱監督の素晴らしい到達だと感じました。日々の暮らしとは不安定で、思うようにならなくて、いつも揺れ動く。しかしそれこそがperfect daysと呼べるのかもしれませんね。あれ?

『さよなら ほやマン』(C)2023 SIGLO/OFFICE SHIROUS/Rooftop/LONGRIDE
  1. 『夜明けのすべて』https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/
  2. 『パスト ライブス/再会』https://happinet-phantom.com/pastlives/
  3. 『枯れ葉』https://kareha-movie.com/
  4. 『青春』https://moviola.jp/seishun/
  5. 『すべての夜を思いだす』https://subete-no-yoru.com/
  6. 『王国(あるいはその家について)』https://www.domains-movie.com/
  7. 『チャレンジャーズ』https://wwws.warnerbros.co.jp/challengers/
  8. 『SUPER HAPPY FOREVER』https://shf2024.com/
  9. 『さよならほやマン』https://www.cine.co.jp/hoyaman/index.html
  10. 『どうすればよかったか?』https://dosureba.com/
★松丸亜希子の2024 CINMA10

コメント:新潟県民になって11年目、ほぼ県内で完結する穏やかな日々の中、この「CINEMA10」に背中を押され、劇場に通っています。ということで、印象的だった作品のリストを作りました。1から10は劇場で観た順番で、邦画と洋画がちょうど5本ずつ。REALTOKYO時代にインタビューした2人の巨匠、アグニエシュカ・ホランドフレデリック・ワイズマン両監督の新作を県内で観られたことがなによりの喜びです。かつては試写の暗闇の中でノートにメモを取ったり、サンプルDVDを借りて気になるシーンで止めたり、新作のレビューを書き、取材に備えて観ることも多かったけれど、ただの映画ファンとして純粋にスクリーンに向き合う時間を楽しんでいます。

『夜明けのすべて』©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
  1. 『夜明けのすべて』https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp
  2. 『枯れ葉』https://kareha-movie.com
  3. 瞳をとじてhttps://gaga.ne.jp/close-your-eyes/
  4. 『人間の境界』https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/
  5. 『悪は存在しない』https://aku.incline.life
  6. 『関心領域』https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/
  7. ナミビアの砂漠』https://happinet-phantom.com/namibia-movie/
  8. 『至福のレストラン 三つ星トロワグロ』https://www.shifuku-troisgros.com
  9. 『Cloud クラウドhttps://cloud-movie.com
  10. 『雨の中の慾情』https://www.culture-pub.jp/amenonakanoyokujo/
★前田圭蔵の2024 CINEMA10

コメント:2024年は、元旦に能登地方で大災害が起き、沈んだ気持ちからの一年となった。個人的にも、いわゆる“本厄”ということで、なんとなく弱気というか、一年を無事に乗り切れる自信はまったくもてなかった。世界に目を向ければ、力や富を有する者たちの横暴はますます目に余り、ガザやウクライナをはじめとした紛争地域に希望はみえず、さらに貧富差の拡大や物価高騰、地球温暖化による環境変化、陰惨な事件など、暗いニュースがひっきりなしに流れてくる。夏目漱石を気取るわけではないが「兎角、この世は住みにくい」という実感は増すばかりだ。選んだ各作品は、そんなもやもやとした日々の心境に、小さな気づきやかすかな希望をもたらしてくれる。生きることの切実さとリアリティをどうにかして伝えようとする想いが込められている。「暗闇と静寂が、私をこの世界に繋ぎ止めている。どこか別の街で暮らす誰かは、眠れぬ夜を過ごし、朝が来るのを待ち侘びているかもしれない。しかし、そんな人間たちの感情とは無関係に、この世界は動いている。」(『夜明けのすべて』より)番外『琵琶湖・島ぐらし-滋賀県沖島-』(NHK新日本紀行/初回放送1980年)

『Here』(C)Quetzalcoatl
  1. 『HERE』  https://www.sunny-film.com/here
  2. 『ゴースト・トロピック』 https://www.sunny-film.com/ghosttropic
  3. 『夜明けのすべて』 https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/
  4. ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』 https://eiga.com/movie/100915/
  5. 『すべての夜を思いだす』 https://subete-no-yoru.com/
  6. 『悪は存在しない』 https://aku.incline.life/
  7. 『HAPPYEND』 https://www.bitters.co.jp/HAPPYEND/
  8. 『関心領域』 https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/2dc
  9. 『あんのこと』 https://annokoto.jp/
  10. 『キノ・ライカ 小さな町の映画館』 http://eurospace.co.jp/KinoLaika/

★白坂由里の2024 CINEMA10

コメント:土地や家族にまつわる問題を描いた映画を、その構造、自己決定権や行動原理について知りたくて、フィクションもドキュメンタリーも混ぜこぜに見ていた。1)はスペインのカタルーニャが舞台の、カタルーニャ語の映画。ソーラーパネル建設で立ち退きを迫られる桃農園の最後の夏。2)も同種の問題で、長野県の自然豊かな町に、東京の芸能事務所から、国の助成金目当てのグランピング建設が持ち込まれる。立場の異なる人々がそれぞれどんな行動を取るかという視点は、3)にもある。ベラルーシポーランドの国境地帯の森で、シリアやアフガニスタンからの難民が右往左往させられた実話がもと。私自身は女医のようにはなれず、理解はするが生活を守る女医の友人どまりか。4)は沖縄の先島諸島で、自衛隊再軍備に抵抗する人々を長年見つめた声と歌の映画。5)戦没者遺骨収集を続ける“ガマフヤー”、具志堅隆松さんの行動的慰霊に、6)は写真家・石川真生さんの語りから「沖縄」に少しでも近づく。10本のほかに2023年のシネマ10で挙げたときは自主上映だった「春を重ねて/あなたの瞳に話せたら」が、昨年劇場公開されたことを追記したい。同じ映画を繰り返し見る大切さを感じた。

『太陽と桃の歌』 © 2022 AVALON PC / ELASTICA FILMS / VILAÜT FILMS / KINO PRODUZIONI / ALCARRÀS FILM AI
  1. 太陽と桃の歌  https://taiyou-momo.com/
  2. 悪は存在しない https://aku.incline.life/
  3. 人間の境界  https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/
  4. 戦雲(いくさふむ) https://ikusafumu.jp/
  5. 骨を掘る男  https://closetothebone.jp/
  6. オキナワより愛を込めて https://okinawayoriaiwokomete.com/
  7. どうすればよかったか? https://dosureba.com/
  8. 夜明けのすべて  https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/
  9. ルックバック  https://lookback-anime.com/
  10. リッチランド  https://richland-movie.com/

★フジカワPAPA-Qの2024 CINEMA10

コメント:音楽映画公開順。1)ジョナサン・デミ監督のトーキング・ヘッズ1983年のライヴ記録が4Kレストア版で復活。2)1967年、米国西海岸での世界初のフェスの記録が4Kレストア版で正式に劇場公開。ジャニス、ジミヘン等圧巻!3)ドラムとドラマーだけのドキュメンタリー。大御所から若手まで叩き語る。4)今年生誕80年のボブ・マーリーの伝記ドラマ。1977年ロンドンでアルバム『エクソダス』を録音する前後を描く。5)今年生誕150年のモーリス・ラヴェルの1928年に作曲の「ボレロ」を巡るドラマ。6)現在LAフィルで 2026年からはNYフィルを振る、ベネズエラ出身の指揮者グスターボ・ドゥダメルを追う記録。7)1969年にミュンヘンECMレコードを創立したプロデューサー、マンフレート・アイヒャーを追う2009年製作の記録。8)1939年にドイツ人アルフレッド・ライオンがNYで創立したジャズの名門ブルーノート・レコードの、1997年製作のドキュメンタリー。9)フィンランドのメタル・バンドの珍道中を描くドラマ。BABYMETAL出演。10)B.B.キング(今年生誕100年!)や他の歌手のライヴと、若いカップルのドラマが並行し、BLUES とは何か?を掘り下げる。

『ブルースの魂』(C)1973-2022 NEYRAC FILMS
  1. ストップ・メイキング・センスhttps://gaga.ne.jp/stopmakingsense/
  2. 『Monterey Pop モンタレー・ポップ』http://mp.onlyhearts.co.jp/
  3. 『COUNT ME IN 魂のリズム』https://countmein.jp/
  4. ボブ・マーリー:ONE LOVE』https://paramount.jp/bobmarley-onelove/
  5. ボレロ 永遠の旋律』https://gaga.ne.jp/bolero/
  6. 『ビバ・マエストロ!指揮者ドゥダメルの挑戦』https://www.viva-maestro-movie.com/
  7. ECMレコード - サウンズ&サイレンス』https://www.universal-music.co.jp/sounds-and-silence/
  8. 『BLUE NOTE ハート・オブ・モダン・ジャズ』https://jazzmovies2024.jp/
  9. 『ヘヴィ・トリップⅡ 俺たち北欧メタル危機一発!』https://heavytrip-2.com/
  10. 『ブルースの魂』http://blues.onlyhearts.co.jp/

★福嶋真砂代の2024 CINEMA10

コメント:北陸に拠点を移し3年、母との暮らしにようやく慣れてきたと思った矢先に人生2度目の病気のピンチが。手術もあり映画を観る機会は激減したけれど、映画館で光と影を見つめる時間が何より大切な2024年でした。1)ヴィクトル・エリセ31年ぶりの新作は重く深い「答え」、そしてアナ・トレントの感動的なカムバック。2)バス・ドゥヴォスは暮れゆく街の明かりに揺れる人間のぬくもり。 3)小さな新聞記事に衝撃を受けた入江悠河合優実の「生」を存分に輝かせた。4)レイチェル・ランバートはなんとなく「死」に惹きつけられる妙齢女性のぎこちない生き方に共鳴。5)娘のDNAをどうするか、そんな難題に還暦すぎた母を直面させたホアン・シー。6)年々異常気象が深刻になる日本もまたヌリ・ビルゲ・ジェイランの過酷な世界に繋がっている。10)フー・ティエンユーは老先生の髪を切る美容師のまっすぐな思いを描く。”優しさ”は必ず誰かがみてるよね。この他にも五十嵐耕平の新作、また空音央の光る才能に出逢えた。劇場の暗闇でときには「死」を、あるいは「生」を考える、そんな贅沢で静かな時間が今年も続きますように……。(リストは順不同、敬称略)

『二つの季節しかない村』(C)2023 NBC FILM/ MEMENTO PRODUCTION/ KOMPLIZEN FILM/ SECOND LAND / FILM I VAST / ARTE FRANCE CINEMA/ BAYERISCHER RUNDFUNK / TRT SİNEMA / PLAYTIME
  1. 瞳をとじてhttps://gaga.ne.jp/close-your-eyes/
  2. 『ゴースト・トロピック』https://www.sunny-film.com/ghosttropic
  3. 『あんのこと』https://annokoto.jp/
  4. 『時々、私は考える』https://sometimes-movie.jp/
  5. 『娘の娘』https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37002CMP05
  6. 『二つの季節しかない村』https://www.bitters.co.jp/2kisetsu/
  7. 『悪は存在しない』https://aku.incline.life/
  8. ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』https://klockworx-v.com/robotdreams/
  9. 『人間の境界』https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/
  10. 『本日公休』https://www.zaziefilms.com/dayoff/
●選者プロフィール

・澤隆志:2000年から2010年までイメージフォーラム・フェスティバルのディレクターを務める。現在はフリーランス。パリ日本文化会館、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館青森県立美術館、長野県立美術館などと協働キュレーション多数。「めぐりあいJAXA」(2017-)「写真+列車=映画」(2018)「継ぎの時代」(2021-)などプロデュース。

・石井大吾:2008年よりDaigo Ishii Designとして活動開始。建築やまちづくりのプロジェクトに携わる。2009-2015年には中野にてgallery FEMTEを運営。 2018年からは株式会社アットカマタの活動にも参加し、2019年に京急梅屋敷にKOCAをオープン。2020年より週の半分は房総半島を拠点に。https://www.daigoishii.com

・松丸亜希子:1996年から2005年までP3 art and environmentに在籍した後、出版社勤務を経てフリーの編集者に。P3在職中に旧REALTOKYO創設に携わり、2016年まで副編集長を務める。2014年夏から長岡市在住。

・前田圭蔵:世田谷美術館学芸課を経て、80年代後半より音楽やコンテンポラリー・ダンスを中心に舞台プロデュースを手掛ける。F/T11、六本木アートナイト、あいちトリエンナーレ2013パフォーミング・アーツ部門プロデューサー、国際芸術祭「あいち2022」パフォーミングアーツ・アドバイザーなどを歴任。旧realtokyo同人。

・白坂由里:神奈川県生まれ、小学生時代は札幌で育ち、現在は千葉県在住。『WEEKLYぴあ』を経て1997年からアートを中心にフリーライターとして活動。学生時代は『スクリーン』誌に投稿し、地元の映画館でバイトしていたので、いまも映画に憧れが……。

・フジカワPAPA-Q:選曲家、DJ、物書き、制作者等。NHK-FMゴンチチさんの番組「世界の快適音楽セレクション」選曲構成。コミュニティ放送FM小田原の番組制作者として、巻上公一さん等の番組担当。フジロックで開催のNO NUKESイベント「アトミックカフェ・トーク&ライブ」(MCは津田大介さん)制作。等々色々活動中。

・福嶋真砂代:RTC(REALTOKYO CINEMA)主宰。航空、IT、宇宙業界勤務を経てライターに。『ほぼ日刊イトイ新聞』の「ご近所のOLさんは、先端に腰掛けていた。」などコラム寄稿(1998-2008)。桑沢デザイン塾の黒沢清諏訪敦彦三木聡監督を迎えたトークイベント「映画のミクロ、マクロ、ミライ」コーディネーター&MC(2009)。RealTokyoキネマ旬報などに寄稿。2022年より金沢暮らし。