音楽は素晴らしい。自由と希望の力をチャージする
遠くにエッフェル塔が見えるパリのビルの屋上で熱心にバイオリンを練習する少年、アーノルド。西アフリカのマリ出身で母子家庭の彼が通うのは、パリ19区という貧しい地区の小学校で、アフリカ系、アラブ系、アジア系など多様な移民の子供達がいる。そこに来たのが、オーケストラ・クラスの新しい先生であるプロのバイオリン奏者、ダウド。しかし、悪ガキ達は勝手に騒いで授業にならず…。ある日、ダウドが演奏すると生徒達は興味津々の表情で聞き入り、やっと練習が始まり、ダウドはアーノルドの才能を見出す。が、演奏の失敗、先生と生徒の対立、教室の火災など問題が起きるが、保護者達の協力で新たな場所を得て練習に打ち込む。目標は、フィルハーモニー・ド・パリというホールで、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を演奏する事だ。演奏当日、ひとつのアンサンブルとして結束した彼等はスタンディングオベーションを受け、全員が笑顔になるのだった。
実際に行われている子供の為の音楽教育プログラム「デモス」に想を得て映画化した、監督と脚本のラシド・ハミはアルジェリア出身で、この生徒達と同じ様な環境で育ったという。子供達にとっての音楽の意味を本当に理解しているに違いない。実は、ハミ監督は先日のフジロックに来た程の音楽好きだが、気に入ったアクトは誰だったのか聞きたい所だ。ところで、映画の最後に流れるのが「フリーダム」という曲(ウッドストックでリッチー・ヘブンスが歌った事で有名)なのだが、これがハミ監督の一番のメッセージではないだろうか。
フジカワPAPA-Q★★★★.5
Information:
『オーケストラ・クラス』
監督:ラシド・ハミ
脚本:ラシド・ハミ&ギィ・ローラン
出演:カド・メラッド/サミール・ゲスミ
上映時間:102分
配給:ブロードメディア・スタジオ
8月18日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開