REALTOKYO CINEMA(RTC)は4年目を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。さて年頭の恒例行事「わたしの10大イベント - CINEMA10」(シネマテン)を発表します。「2019 RTC CINEMA10」では建築家の石井大吾さんを新メンバーに迎えてパワーアップ! 映画を愛するRTゆかりのメンバーたちが、今年も大いに悩みながらセレクトした珠玉の10本(公開年にこだわらず、基本2019年に観た映画から選びました)です。どうぞお楽しみ下さい(寄稿者は原稿到着順に:澤隆志、石井大吾、松丸亜希子、前田圭蔵、白坂由里、フジカワPAPA-Q、福嶋真砂代)。
2019 RTC CINEMA10
★澤 隆志の2019 CINEMA10
- 『つばめを動かす人たち 月曜シネサロン&トーク』 http://www.cinesalon.jp/
- 『虚空門 GATE』 https://gate.salon
- 『主戦場』 http://www.shusenjo.jp/
- 『解放区』 http://kaihouku-film.com/
- 『ジョーカー』 http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
- 『サスペリア』 https://gaga.ne.jp/suspiria/
- 『だってしょうがないじゃない』 https://www.datte-movie.com/
- 『「バシャ」 しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像』 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3443.html
- 『交換日記 百瀬文×イム・フンスン』 http://ayamomose.com/?p=1523
- 『「Lost Sight」 ミヤギフトシ 予兆の輪郭 第2期』 https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2019/20190413-4454.html
コメント:特急つばめが8時間で結んだ東京-大阪は今や3時間切り。戦後は時空が変化して社会を変えた(1)。実験映画ーAVープロレスーUFOというイメージの虚実に魅せられた作家の執念がにじみ出た(2)。特定コミュニティの「かくあれかし」の熱は、自然と(3)の両翼それぞれの純化と壁を連想させてしまうのだった。それは芸術祭への暴力へ飛び火し、国の補助金まで取り沙汰される顛末...。経緯は違えど議論になった補助金を全額返金しやっと一般公開された(4)は”巻き込まれヴィラン”ともいえる(5)と同年に見られてよかった。強烈な印象の旧作(旧キャラ)をアップデートするために旧作の外側を描くのは(6)にも通じる決意。(7)(8)(9)(10)も社会の縁や裏をとりこぼさない決意。
★石井大吾の2019 CINEMA10
- 『タレンタイム』http://moviola.jp/talentime/
- 『ひかりの歌』http://hikarinouta.jp/
- 『東京干潟』https://higata.tokyo/
- 『生きてるだけで、愛。』http://ikiai.jp/
- 『山懐に抱かれて』http://www.tvi.jp/yamafutokoro/
- 『芳華-Youth-』http://www.houka-youth.com/
- 『盆唄』http://www.bitters.co.jp/bon-uta/
- 『蹴る』https://keru.pictures/
- 『希望の灯り』http://kibou-akari.ayapro.ne.jp/
- 『止められるか、俺たちを』http://wakamatsukoji.org/tomeoreweb/
コメント:地方出張の際に映画館で過ごすことが楽しみである。小さな町であればなおさら。昨年は主に上田の上田映劇にお世話になった。そして帯広出張の際には、「小さな町の小さな映画館」の大黒座に!フライト前のロングドライブの果てにいただいた一杯のコーヒーは忘れられない。旅先で映画を観るということ。その土地もその映画も少し特別なものとして自分の中に残っていく。見逃した映画が少し遅れて地方で上映しているときなどは、あえて旅をしてみるのもよいかもしれません。さて、1位はタレンタイム、もう10年も前の映画である。2019年の夏はヤフミン・アフマドの特集をすべて鑑賞し、そのどれもをランクインさせたいところだが、代表してやはりタレンタイムを選んだ。自分の国の話ではないからではないか、何か見落としているのではないか、などと思いつつも、やはり素直に素晴らしい作品だ。
★松丸亜希子の2019 CINEMA10
- 『ROMA/ローマ』https://www.netflix.com/jp/title/80240715
- 『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』http://moviola.jp/nypl/
- 『愛がなんだ』http://aigananda.com
- 『よこがお』https://yokogao-movie.jp
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』http://www.onceinhollywood.jp
- 『ある船頭の話』 http://aru-sendou.jp
- 『ジョーカー』http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
- 『楽園』https://rakuen-movie.jp
- 『こはく』https://www.kohaku-movie.com
- 『夕陽のあと』https://yuhinoato.com
コメント:新潟県長岡市に移住して6年目。主に市内唯一のシネコンで観ているのですが、うれしいことにミニシアター系の作品も多々上映されるので、レディースデーは劇場に向かうことが習慣に。旧REALTOKYOでインタビューした監督たちの新作を追いかけるのに忙しい1年で、大豊作のため選出に苦労しましたが、どうにか10本を選んで観た順に並べてみました。『夕陽のあと』に寄せたコメントが予告編やチラシに採用され、パンフレットや雑誌への寄稿のオファーもいただき、久しぶりに映画について長めの原稿を執筆できたことも2019年の収穫です。声をかけてくださった宣伝担当の方に感謝!
★前田圭蔵の2019 CINEMA10
- 『運び屋』http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/
- 『ブラック・クランズマン』https://bkm-movie.jp/
- 『イメージの本』http://jlg.jp/
- 『火口のふたり』https://kakounofutari-movie.jp/
- 『ジョーカー』http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
- 『セメントの記憶』https://www.sunny-film.com/cementkioku
- 『パラダイス・ネクスト』 http://hark3.com/paradisenext/
- 『ひとよ』https://hitoyo-movie.jp/
- 『家族を想うとき』https://longride.jp/kazoku/
- 『男はつらいよ お帰り 寅さん』https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie50/
コメント:昨年の固い決意も虚しく、そもそも封切り新作映画をスクリーンで見た本数自体がたったの13本でした。学生時代は年に200本以上も見ていたシネフィルだったのに・・・悔しいです!w 特に印象深かった映画は、2、6、8。2は、KKKの潜入捜査をする実在の黒人刑事を題材に、リー監督独特の編集の”リズム感”が冴え渡る。テレンス・ブランチャードの音楽もいい。 6 は、カルロス・ゴーン氏の逃亡先としても注目を浴びる中東レバノン・ベイルートで肉体労働に従事するシリア移民労働者のあまりにも過酷な現実を捉えたドキュメンタリー。8は、家庭内暴力に耐えかねた夫を殺めてしまう母と3人の子どもたちの行く末を描き、極東独特の高い湿度感と田中裕子の演技が迫力のある画面を絶えず覆っていた。1のイーストウッド作品ももう一度スクリーンで観たい映画。そう、多くの人は人生の多くの時間を好き好んだことに費やしているわけではないのです。(リストは順不同)
★白坂由里の2019 CNEMA 10
- 『セメントの記憶』https://www.sunny-film.com/cementkioku
- 『存在のない子供たち』http://sonzai-movie.jp
- 『シュバルの理想宮 ある郵便配達員の夢』https://cheval-movie.com
- 『永遠の門 ゴッホの見た未来』https://gaga.ne.jp/gogh/
- 『家族を想うとき』https://longride.jp/kazoku/
- 『テルアビブ・オン・ファイア』http://www.at-e.co.jp/film/telavivonfire/
- 『ドント・ウォーリー』http://www.dontworry-movie.com
- 『希望の灯り』http://kibou-akari.ayapro.ne.jp
- 『よこがお』https://yokogao-movie.jp
- 『水と砂糖のように』http://mizusato.onlyhearts.co.jp
コメント:ベイルートの超高層ビル建設現場でシリア人移民が過酷な労働に従事する1は音、その振動で伝え記憶させるドキュメンタリー。それ以外はリサーチをもとにしたフィクションを見ることが多かった。人それぞれ理不尽な運命にどんな態度をとるか。絵を描いたり、ささやかな美しさを見つけたり、ユーモアで返すシーンにホッとする。なかでも、自身ではまだ人生を選択できないと思われている子供が声を挙げる2の存在感は群を抜く。そして3の、不条理な世界を超えて不条理な創造に生ききったシュバルに希望を見た。10は映画の言葉でもある色彩と光。尊敬する5のケン・ローチ監督も登場します。(リストは順不同)
★フジカワPAPA-Qの2019 CINEMA10
- 『ROMA/ローマ』https://www.netflix.com/jp/title/80240715
- 『ビル・エヴァンス~タイム・リメンバード』http://evans.movie.onlyhearts.co.jp
- 『カーマイン・ストリート・ギター』http://www.bitters.co.jp/carminestreetguitars/
- 『ジョアン・ジルベルトを探して』http://joao-movie.com
- 『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』http://www.universal-music.co.jp/cinema/bluenote
- 『ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ~ナウ・モア・ザン・エヴァー』http://wowowent.jp/chicago/
- 『イエスタデイ』http://yesterdaymovie.jp
- 『ガリーボーイ』http://gullyboy.jp
- 『トップ・ハット』<フレッド・アステア・ボーン・トゥ・ダンス(特集上映)>http://www.cinemavera.com/preview.php?no=231
- 『マイ・フーリッシュ・ハート』http://my-foolish-heart.com
コメント:音楽の映画10本公開順。1キュアロン監督選曲のサントラ素敵。2昨年生誕90年&今年没後40年のエヴァンスの生涯。3ジャームッシュ監督らも訪れるNYヴィレッジのギター工房。4昨年天に召されたJGを探す監督のリオの旅。5昨年80周年のブルーノート・レコードの歴史。6ベテラン・ロックバンドの軌跡。7ダニー・ボイル監督のビートルズ愛は泣ける。8インド映画とヒップホップは合う。NAS絶賛のムンバイの青年ラッパー出世譚。9フレッド・アステアの特集上映を代表して。アーヴィング・バーリンの音楽で歌い踊る1935年の最高作。10アムステルダムで謎の死を遂げたチェット・ベイカーを描くノワールなドラマ。今なお彼の音楽は魅力的。
★福嶋真砂代の2019 CNEMA 10
- 『ある船頭の話』http://aru-sendou.jp/
- 『ブラック・クランズマン』https://bkm-movie.jp/
- 『僕はイエス様が嫌い』https://jesus-movie.com/
- 『幸福なラザロ』http://lazzaro.jp/
- 『ニューヨーク公共図書館』http://moviola.jp/nypl/
- 『カーマイン・ストリート・ギター』http://www.bitters.co.jp/carminestreetguitars/
- 『北の果ての小さな村で』http://www.zaziefilms.com/kitanomura/
- 『7月の物語』https://contes-juillet.com/
- 『少女は夜明けに夢をみる』http://www.syoujyo-yoake.com/
- 『柄本家のゴドー』http://emotoke-no-godot.com/
コメント:2019年も選びきれないほど多くの素敵な作品に出会った。圧巻は『ある船頭の話』の息を呑む映像美と静かな迫力。華麗な長編監督デビューを果たしたオダギリ監督に撮影秘話を聴けたことも感慨深い。『ブラック・クランズマン』のスパイク・リーらしい痛快さに年初から参ったし、『僕はイエス様が嫌い』と『幸福なラザロ』の根源的な「問い」はいつまでも心を揺らす。TIFFではデンマーク『わたしの叔父さん』の奥ゆかしさ、またフィルメックスは中国『春江水暖』の壮大な”絵巻物”を描く若い監督の“挑戦”に驚嘆。そしてすでに『リチャード・ジュエル』で感動メーターMAXな2020年なのだが、どんな作品がこれを越えるのか楽しみだ。
●選者プロフィール(原稿順)
・澤隆志:2000年から2010年までイメージフォーラム・フェスティバルのディレクターを務める。現在はフリーランス。パリ日本文化会館、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館、青森県立美術館などと協働キュレーション多数。「めぐりあいJAXA」(2017-)「写真+列車=映画」(2018)などプロデュース。
・石井大吾:fuse-atelier、blue studioを経て2008年よりDaigo Ishii Design(daigoishii.com)として活動開始。建築、インテリア、家具などのデザインを手がける。2009-2015年には中野にてgallery FEMTEを運営。 2018年からは株式会社アットカマタの活動にも参加している。2019年、京急梅屋敷にKOCA(koca.jp)をオープン。https://www.daigoishii.com/
・松丸亜希子:1996年から2005年までP3 art and environmentに在籍した後、出版社勤務を経てフリーの編集者に。P3在職中に旧REALTOKYO創設に携わり、2016年まで副編集長を務める。2014年夏から長岡市在住。
・前田圭蔵:世田谷美術館学芸課を経て、80年代後半より音楽やコンテンポラリー・ダンスを中心に舞台プロデュースを手掛ける。F/T11、六本木アートナイト、あいちトリエンナーレ2013パフォーミング・アーツ部門プロデューサーなどを歴任。現在は東京芸術劇場に勤務。旧realtokyo同人。
・白坂由里:神奈川県生まれ、小学生時代は札幌で育ち、現在は千葉県在住。『WEEKLYぴあ』を経て1997年からアートを中心にフリーライターとして活動。学生時代は『スクリーン』誌に投稿し、地元の映画館でバイトしていたので、いまも映画に憧れが……。
・フジカワPAPA-Q:選曲家、DJ、ライター、編集者、オーガナイザーなど。先日放送1000回となったNHK-FMのゴンチチの番組「世界の快適音楽セレクション」の選曲構成。コミュニティラジオ FM小田原の番組プロデューサー。フジロックのアバロンステージで開催のNO NUKESイベント「アトミックカフェ・トーク&ライブ」スタッフ。等々と色々活動中。
・福嶋真砂代:RTC主宰。航空、IT、宇宙業界を経てライターに。『ほぼ日刊イトイ新聞』の「ご近所のOLさんは、先端に腰掛けていた。」などコラム寄稿(1998-2008)。黒沢清、諏訪敦彦、三木聡監督のトークイベント「映画のミクロ、マクロ、ミライ」MC(2009)。旧Realtokyoには2005年から参加。https://www.realtokyo.co.jp/
realtokyocinema.hatenadiary.com