キューバの世界的音楽家集団よ、永遠に!
米国の世界的音楽家ライ・クーダーが1996年にキューバに行き、ベテラン・ミュージシャン達と制作したアルバムが『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(以下BVSC)で、BVSCは彼等の名称ともなった。その世界的ヒットを受け、ヴィム・ヴェンダースが監督した音楽ドキュメンタリーが1999年公開の同名映画『BVSC』で、彼等の音楽が更に世界に広がった。
それから18年、この『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』はアディオス(さよなら)とある通り、彼等からの別れの挨拶である。今回、ヴェンダースは製作総指揮になり、監督は高い評価を得る英国のドキュメンタリー作家のルーシー・ウォーカー。BVSCの成功以来、彼等は世界中で演奏し、各メンバーのソロアルバムも話題になったが、多くのメンバーが天国へ旅立った事もあり、活動の終了を決意した彼等は最後のアディオス・ツアーで世界を回る。
映画は、キューバの歴史を紹介し、最初のBVSCの映像や各メンバーの個人史を昔の映像とインタビューで掘り下げ、ツアーのバックステージを描き、ハバナでのアディオス・ツアーの舞台で終わる。BVSCの逸話を英国のレコード・プロデューサーのニック・ゴールドと現地の仕掛人フアン・デ・マルコスが大いに語るのが印象的だ。余り取り上げられないメンバーもいる等の不満もあるが、キューバをあまり知らない人にこそ見てほしい音楽と愛の映画である。そして、今も活躍するキューバ最高の歌姫オマーラ・ポルトゥオンドは、9月頭に開催の「東京ジャズ」で日本の誇るオルケスタ・デ・ラ・ルスと共演する!
フジカワPAPA-Q★★★★.5
Information:
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース 他
監督:ルーシー・ウォーカー
出演:オマーラ・ポルトゥオンド(ヴォーカル)、マヌエル・“エル・グアヒーロ”・ミラバール(トランペット)、バルバリート・トーレス(ラウー)、エリアデス・オチョア(ギター、ヴォーカル)、イブライム・フェレール(ヴォーカル)
原題:Buena Vista Social Club: Adios/2017年/イギリス/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/110分/字幕翻訳:石田泰子
後援:駐日キューバ共和国大使館 インスティトゥト・セルバンテス東京 日本人キューバ移住120周年
配給:ギャガ (C)2017 Broad Green Pictures LLC
2018年7月20日(金)より TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開中
公式サイト: