REALTOKYO CINEMA

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Review 38『ジョアン・ジルベルトを探して』

ボサノヴァの始祖、ジョアン・ジルベルトを求める旅

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©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018

アントニオ・カルロス・ジョビン(作曲家、ピアニスト)、ヴィニシウス・ヂ・モライス(作詞家)と共にボサノヴァを創始した、ブラジルの歌手、ギタリストのジョアン・ジルベルト(JG)。1931年6月10日バイーア州生まれ、2019年7月6日リオデジャネイロで死去(88歳)。
フランス生まれのジョルジュ・ガショ監督が偶然手にした一冊の本が、あるドイツ人作家が残した、ブラジルでJGを求めた旅の顛末記だった。この映画は、その本に突き動かされた監督が彼の地でJGを探す旅を描いた音楽ドキュメンタリーだ。
映画はリオデジャネイロの美しい風景が映し出される。そして、JGに縁のある人々のインタビューの場面では、歌手のミウシャ(JGの元妻で惜しくも昨年末に逝去。ベベウ・ジルベルトは実の娘、シコ・ブアルキは弟)、マルコス・ヴァーリジョアン・ドナートホベルト・メネスカルらの世界的な音楽家、JGの専属料理人や理容師などが登場する。だが、監督自身はどうしてもJG本人には近づくことができない。監督は、夜の街のショーウィンドウのテレビに映るJGの演奏映像を眺めるだけだ。果たして、監督はJGにたどり着けるのか…、JGという魔術的な謎に迷い込んだだけなのか…。
奇しくも、この映画はJGの追悼上映となった。また、JGの2006年の東京での公演を収めたブルーレイディスクが追悼盤として出たばかりだ。1959年リリースのJGのファーストアルバム『想いあふれて』から、今年で60年。歌とギターで世界に影響を与えたJGは空の星になった。サウダーヂという言葉があるが、それはJGの音楽を聞く時に感じる何かなのだろう。

フジカワPAPA-Q ★★★★

Information:
監督・脚本:ジョルジュ・ガショ
出演:ミウシャジョアン・ドナートホベルト・メネスカル、マルコス・ヴァーリ
2018年/スイス=ドイツ=フランス/ドイツ語・ポルトガル語・フランス語・英語/111分/カラー/ビスタ/5.1ch
原題:Where are you, João Gilberto?
字幕翻訳:大西公子 字幕監修:中原仁
後援:在日スイス大使館、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、ブラジル大使館
協力:ユニフランス 配給:ミモザフィルムズ 宣伝協力:プレイタイム

■あらすじ:その類稀なるギター演奏と甘美な歌声で、世界を魅了したボサノヴァの神様、ジョアン・ジルベルト10年以上、公の場に姿を現していない彼に会いたい一心で、ドイツ人作家とフランス人監督が時空を超えてリオの街をさまよい歩く。果たしてジョアンは姿を現してくれるのだろうか…?

joao-movie.com

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