REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Review 51『茜色に焼かれる』

自転車をこぐ良子の背中に自分を重ねていた

文・福嶋真砂代

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©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

「まあがんばりましょう」そう言うことで「大丈夫よ」を演じているような主人公の田中良子尾野真千子)は、中学生の一人息子純平(和田庵)を育てるシングルマザー。元官僚の老人が起こした交通事故でロックミュージシャンの夫の陽一(オダギリジョー)を突然亡くした。事故後、加害者からの誠実な謝罪がないという理由で賠償金を拒否、公営住宅に住みながら仕事を掛け持ちして暮らしている。コロナ禍で生業のカフェを手放した。やむなく選んだ風俗業で出会ったケイ(片山友希)と店長(永瀬正敏)の誠実な温かさ、それに比して、パートの花屋の店長から受ける冷酷な(ありがちな)扱いが情けない。いっぽう純平は上級生に因縁をつけられしつこいいじめを受けていた。担任教師の心無い対応に唖然とする。そんな心折れる日々に偶然再会した同級生の男、熊木に惹かれ、良子は風俗店を辞めると言う。店長は「本当に大丈夫なのか?」と心配するが(いやどっちが大丈夫なんだろうと方向感覚を失うけれど)、現実には思わぬ展開が待っていた……。

石井裕也が脚本、編集、監督をした『茜色に焼かれる』は、2020年8月に撮影され、このコロナ禍の閉塞した空気の毎日に一石を投じる力強い作品になった。困難のなかで懸命に生きるすべての人に元気とエールを送る。ただ励ますと言うより、苦しさの「内訳」を数値的に詳らかにしつつ、世の中の理不尽、それも理不尽の極みのようなあの出来事を含めたあらゆる理不尽への激しい憤りと抗議が秘められていると感じる。

■良子の「強さ」はどこから

それにしても尾野真千子演じる良子の凄味。強さだけではなく、もちろん弱いところも見せるとしても、何が彼女をそこまで世の中に抵抗させ、厳しい選択をさせるのか。筋の通らないことを許さない、へこたれない強さの源流を考えると、まず彼女がもともとロックな芝居をする舞台女優であったという描写があり、彼女の未来もそこに導かれていくという流れがある。亡夫のバンド仲間、あるいは加害者側から、悪魔的な誘惑が忍び寄るが揺るがない。ひとに頼らず生き抜くために飛び込んだ風俗は、ひとえに息子を育てるためではある。だが「まあがんばりましょう」と言い続けても限界がある。7年間、お酒を断って泣き言を言わなかった良子は、ついにすべてを打ち明けられる友を得る。コロナ禍の制限下、飲み話すささやかなひとときが、どんなに人間にとって必要な時間か、それだけで明日も生きようと思う人がどれだけいるだろうか。このあたりも、今回、石井監督の憤りと抗議がさりげないがキッチリ表明されていると感じるところだ。

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©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
■存在感を示すオダギリジョー永瀬正敏

もうひとつ、良子ががんばれる理由は、ほかでもなく事故で亡くした「陽一」の存在だ。陽一の遺伝子が受継がれる純平を守り切ること、それは良子の最大のモチベーションだ、なぜなら純平は陽一の息子だから。その説得力を持たせる、ほんの冒頭の数分しか登場しない(ほとんどがロックな遺影)“オダギリジョー”の存在感をあらためて感じるのだ。あるいはラスト近くに男気を魅せる永瀬正敏。変なたとえだが、辛めのピクルスのようにスパイスが効く。そういう意味では、観た後のひと汗かいたようなサッパリ感、コクのあるカレーのような作品なのかもしれない、まったくの個人的な味わい方ですが.....。

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©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

さらにケイ役の片山は最近のドラマ(「探偵☆星鴨」)とまったく違うイメージのギャップサプライズ。まっすぐで繊細、体当たり演技が潔く気持ちいい。また純平役の和田は、オーディション時に声を聴いて石井監督が即決したと完成報告会(下記リンク参照)で明かしたとおり、そのハスキーな声が魅力の逸材だ(変声期のタイミングもミラクル)。

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©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

さて、おそらく良子が「まあがんばりましょう」と呪文のように唱えて自分と周りを鼓舞するのは、四面楚歌のような状況でも、とにかく目の前のことをがんばる、それしか前に進む道がないという決心だ。茜色の夕陽に「焼かれる」ほどいのちを燃やして、前にしか進まない自転車を漕ぎ続ける良子の背中に「自分」が重なっていく。ときには怒り、ときには愚痴り、たまには自分をほめて、前へ行く。たとえ意味なんか見つからなくても。

Information:

出演:尾野真千子 和田 庵 片山友希 / オダギリジョー 永瀬正敏
監督・脚本・編集:石井裕也

『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ:朝日新聞社 RIKIプロジェクト
製作幹事:朝日新聞社 制作プロダクション:RIKIプロジェクト 
配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ
2021年/日本/144分/カラー/シネマスコープ/5.1ch R-15+ 

2021年5/21(金)より全国公開

Review 50『ブックセラーズ』

本のラビリンスへ迷い込む悦楽の時間

文・福嶋真砂代

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(C)Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved

ニューヨーク(NY)最大のブックフェアを入り口に、稀少本(レアブック)のラビリンスへいざなうドキュメンタリー映画『ブックセラーズ』が公開になった。ぎっしり情報の詰まったこの映画を一言で表現するのはなかなか難しいが、「この映画自体が珍しい本であり、真の宝物だ!」という映画評(THE FILM EXPERIENCE)の言葉がしっくりくる。いつも側(ソバ)に置いて何度も読み返したい類の本、ひとつひとつの言葉がまるで宝石のように煌めく本だ。決して難解な世界ではないが迷路のように奥深い。この膨大な情報量は、プロデューサーのダン・ウェクスラー(実際にブックセラーであり多くの稀少本オーナー)の熱量、さらに監督・編集のD・W・ヤングの探究心の現れだ。軽快なジャズのグルーブにのって、起承転結のメリハリよく、時代の変遷に伴いながら「物質」としての本がたどる生命のうねりを感じさせてくれる。いざ魅惑の本の深海へ。

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(C)Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved

レジェンドから若手まで、個性的なブックセラーたちほか、多くの文化人、知識人たちが熱く本の魅力を語る。フラン・レボヴィッツゲイ・タリーズなどNYの大物ご意見番の言葉にも出会う。とりわけレボヴィッツの歯にきぬ着せぬコメント、たとえば本への愛ゆえに「(フェアなどで)本の上に濡れたグラスを置く人を死刑にしたい」と漏らす本音や、エンドロール映像に「絶対に人に本を貸さない」と思うに至った実はうらやましいエピソードも最高だ。ほかにも「本で生きるものは、本で死ぬ」、「図書館は永遠、宇宙だ」、「本は読むだけのものじゃない」「SFは森のよう」、「本が死ぬは間違いだ」などなど、名言のシャワーを浴び続け、まんじりともできない。その速度はまさにニューヨーカーが歩くスピード感。旅行がままならない昨今、マンハッタンやロンドンのバーチャルな老舗書店めぐりができるまたとない体験になりそう。

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(C)Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved

個人的に圧巻のシーンは、「ウォーカー人類想像史図書館」という不思議空間に迷い込んだかのような美しい図書館。しかしそんな「宝物」を守る彼らに忍び寄る数々の難題がある。すなわち、ブックセラーの高齢化や後継者の問題、さらに業界の男女格差(少しずつ変化しているようだが)、またデジタル化による紙文化の危機など現代的な重要課題が山積している。アメリカ版「お宝探偵団」番組の人気MCでブックセラーのレベッカロムニーのマシンガントークな解説に耳を傾ける。さらに現在ビル・ゲイツが所有するレオナルド・ダ・ビンチの「レスター手稿」または「ハマー手稿」、また「不思議の国のアリス」の手稿の話など、世界に存在する貴重な知的財産にお目にかかれる。

さらに興味をそそるのは「エフェメラ*1と呼ばれる、手紙や写真、はがき、ポスター、チケット、パンフレット、チラシ、マッチ箱など、つい捨ててしまいそうな、しかし時代を越えて価値が生まれるものの「生命力」の話。あのチラシやあのポスター、自宅の捨てるに捨てられないガラクタのあれこれが目に浮かぶ。ところで映画の中にこんな言葉がある「世の中はコレクターと、非コレクターがいる」と。どっちが良いというのではなく、何かしら生来の気質のようなものかもしれない。さて、あなたはどちらだろうか……。

Information:
監督:D.W.ヤング
プロデューサー:ダン・ウェクスラー
製作総指揮&ナレーション:パーカー・ポージー 

原題:THE BOOKSELLERS/アメリカ映画/2019年/99分
配給・宣伝:ムヴィオラミモザフィルムズ

2021423日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開

*1:

書籍のような長期に使われたり保存されることを意図した印刷物と異なり、一時的な筆記物および印刷物を指す(プレス資料より)

 

Info 『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』作品評掲載のお知らせ

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(C)2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト(VIPO、カルチュア・エンタテインメントビターズ・エンド)

池田暁監督の『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』は昨日(3/26)公開。鼎談「前原滉×きたろう×池田暁監督」と共に拙作品評「未来の選択肢は 自分の手のなかに」がキネマ旬報4月上旬号に掲載になりました。池田作品の魅力と「おっとりのなかの恐怖。蝶が何かを告げに来た?」などを書いています。ぜひご一読下さい。

***

「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」
鼎談 前原滉×きたろう×池田暁[監督] ■長野辰次
作品評 ■福嶋真砂代

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www.kinejunshop.com

www.bitters.co.jp

Review 49『春江水暖~しゅんこうすいだん』

古今が溶けあう、壮大な人生の絵巻物のはじまりはじまり

文・福嶋真砂代

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

■春江の魚のスズキと、市井の人々

話題の『春江水暖~しゅんこうすいだん』がいよいよ日本公開に。中国の新鋭、グー・シャオガン監督の長編デビュー作にして、カンヌ国際映画祭(2019)批評家週間のクロージングを飾った作品。第20回東京フィルメックス(2019)のジャパンプレミアでは、ため息がでるほどの映像美と、カメラが横移動する比類のない長回し(「横スクロール」とグー監督が命名)、とりわけ富春江で泳ぐシーンに驚嘆した(映画祭Q&Aレポート)。またほとんどの登場人物がグー監督の親類や近所の人たちであると明かしたときの会場のどよめきも忘れられない。それほどリアルで味のあるキャラクターが息づいていた。グーは「レストラン(シーン)で春江の魚のスズキが出てくるように、市井の人々をリアルに描きたい」という狙いがあるキャスティングなのだとQ&Aで語った。

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

杭州市の富陽(フーヤン)を舞台に、夏から秋、そして冬から春へと移り変わる富陽の景色のなかで、祖母を中心とするひとつの大家族を描く。3時間の長尺もまったく飽きさせない風光明媚なロケーション、絵巻物のような、ダイナミックな横移動のロングテイクに加えてロングショットも存分に生かされる。富陽の名画「富春山居図」に着想を得たという山水画の世界と、中国の人気ミュージシャンのドゥ・ウェイによるアンビエント音楽が化学変化を起こし、過去と現在が交差する瞬間がときにストップモーションに感じるような時間感覚がある。グーは「古典を現代に融合させる試みががいちばん苦心したところ」と述べている。

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

物語のはじまりは、家長である祖母の誕生日に家族が一堂に集うにぎやかな宴席。いかにも中国らしい大家族の円卓風景をよくみると、三世代にわたる「家族構成」が興味深く浮きでてくる。祖母の息子たちの四兄弟がいて、それぞれに家族があり、それぞれ悩ましい“事情”を抱えている。祖母ユーフォン(ドゥー・ホンジュン:プロの女優)はじめ、長男ヨウフ(チェン・ヨウファー:監督の叔父)、次男ヨウルー(ジャン・レンリアン:知り合いの漁師)、三男ヨウジン(スン・ジャンジエン:監督の伯父)とその息子カンカン、四男ヨウホン/ラオシャオ(スン・ジャンウェイ:監督の伯父)、その妻たち、そして長男の娘のグーシー(ボン・ルーチー:舞台女優)と恋人ジャン(ジュアン・イー:グーシーと実際のカップル)らが主要人物となる(祖母とグーシーにプロの俳優をキャスティングしたところもニクイ限りだ)。

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

長男夫婦が経営するレストランで誕生日を祝った直後に脳卒中で倒れた祖母を、誰がひきとって面倒をみるかという問題が起こる。しかし兄弟たちはそんなに簡単にはひきとれないという複雑な空気が漂う……。老後、借金、新旧の価値観、そして恋愛と結婚。中国の現代的テーマを具体的なエピソードに落とし込み、中国の大きな変化を象徴する「再開発」という現実を巧みに「絵巻物」の背景に織り込んでいく。グーがインスピレーションを得たというジャ・ジャンクー監督『山河ノスタルジア』(2015)や、未公開だがロウ・イエ監督『シャドウ・プレイ』(2018)のように、「この中国の変化を撮らずにはいられない」衝動に突き動かされ、本作は絵巻物の中の様々なレイヤーが立体的に浮き出てくるような、じつにユニークな形態で「変化」の様を記憶に刻もうとしている。

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

■中国の第8世代

エドワード・ヤンホウ・シャオシェンという台湾の名監督たちに影響を受けたという映画の佇まいはすでにベテラン感を感じさせるが、グーは現在33歳。『ロングデイズ・ジャーニー この世の果てへ』や『凱里ブルース』のビー・ガン監督の活躍をみてもすでに中国は第8世代が(ピエール・リシェントのコラム「中国の第8世代」によると)"産声をあげ”ている。ところでビー・ガン作品とグーの作風はまったく異なるのだが、驚異の長回し、アマチュアのキャスティング、そして故郷がロケ地、という3点で共通している。理由としてコスト面のメリットももちろんあるが、この手法は「等身大の自己回帰」という点で世代の特徴が色濃いように思う。

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©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

さて、カンヌ上映の前から映画の存在を監督から知らされていた市山尚三氏(東京フィルメックスディレクター)は、本作の上映を即決したとフィルメックスで語っていた。海外映画祭でよく見かける市山さんに、親しみをこめて「野菜買いおじさん」という愛称をつけていたというエピソードを披露したグーの、独特の観察力やユーモアセンス、さらに日本愛好家(アニメ好き)であることをオープンにする親しみやすい人柄のすべてが、この作品の品格、そして温かみを物語る。「巻一完」となるエンディングに、早くも「巻二」を待望するワクワクが止まらない(三部作の予定があるという)。

Information:

監督・脚本 : グー・シャオガン
音楽 :ドウ・ウェイ
出演:チエン・ヨウファー、ワン・フォンジュエン
字幕:市山尚三、武井みゆき/字幕監修:新田理恵
配給:ムヴィオラ
中国映画 / 2019 年 /150 分

211日(木・祝)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

参考サイト:

www.reallylikefilms.com

新しい時代をつくる映画を見逃すな!『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』 | Numero TOKYO

2020年 わたしの10大イベント「CINEMA10」

新年恒例のREALTOKYO CINEMA (RTC)の「CINEMA10」(シネマテン)は5回目になりました。おなじみのメンバー7名(澤隆志、石井大吾、松丸亜希子、前田圭蔵、白坂由里、フジカワPAPA-Q、福嶋真砂代:原稿到着順)が、2020年に観た映画からそれぞれ選ぶ推しの10本。あえて鑑賞形態、公開年、ジャンルにもこだわることなく幅広くセレクトしました。たとえパンデミックな世界でも、「映画」という共通言語でつながれることの喜びを強めに確認しつつ、今年も全力で「多様な視点」重視の個性滲みでるバラバラ感「OK!」(今年のメインビジュアル/ナウシカ)でお届けします。お楽しみ下さい。ということで、2021年もRTCをよろしくお願いいたします。

<2020 RTC CINEMA10>

★澤 隆志の2020 CINEMA10

コメント:covid-19が収まらないのに年末気分になれる? と思いウィズコロナ真っ只中の10本というセレクト。思い出し順。配信リンク(→)があるものは併記したので2021に再見可。世界が同時に止まる経験は後にも先にもないだろう。経済が止まる。と、デスマーチも止まるわけで、落ち着いて自己を省みる時間ができた人も多かったように感じる。世論が動いたり集団提訴が起こったりアクションできなくて鬱になったり。個人と社会の薄くて厚い壁を描いた作品が強く心に残った。仕掛けの豊富な「Sai no Kawara」はドキュメンタリー映画として最も沁みた作品!

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  1. 『Sai no Kawara』https://www.youtube.com/watch?v=rmeI_Qk1rrk
  2. 『その手に触れるまで』http://bitters.co.jp/sonoteni/
    https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08QGW2CGN/
  3. 『フェアウェル』http://farewell-movie.com/
  4. 『ミークス・カットオフ』https://gucchis-free-school.com/event/kelly01/
  5.  『山の焚火』https://gnome15.com/mountain/
    https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00008C454
  6. 『妊娠した木とトッケビhttp://www.imageforumfestival.com/2020/program-f
  7. 『A Day to Remember』A Day to Remember on Vimeo
  8. 『ポップスター』https://gaga.ne.jp/popstar/
    https://www.amazon.co.jp/dp/B08LDJKH3H
  9. レ・ミゼラブルhttp://lesmiserables-movie.com/
    https://www.amazon.co.jp/dp/B08P9VKR33/
  10. 『音楽』http://on-gaku.info/https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08KVRQQH9/
★石井大吾の2020年 CINEMA10

コメント:見逃した映画の多い1年でした。あの映画を観ていたら、このリストが入れ替わっているかもしれないと思う映画が何本もあります。しかし、振り返ってみると、こんな状況でも素晴らしい映画はたくさんあるし、映画館があることのありがたさを思います。1本目は『風の谷のナウシカ』をついに劇場で。繰り返されるテレビ放送で、慣れた風景のようでもあるし、本質はコミックの方という気持もありました。それでも1番目に書かざるをえないほど改めて強い印象が残りました。今までいろんな形でこの物語と接してきたからこそ、映画館で映画を観るということの価値が浮かび上がったと言えるかもしれません。夜中、シアターには一人でしたが、マスクを着用して全身で映画に浸りました。あとは、青春映画(と言えばいいのでしょうか)も多いですね…。はたしていつまでキュンとなりながら映画を観ていいものか、観ることができるのでしょうか…。

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© 1984 Studio Ghibli・H
  1. 風の谷のナウシカhttps://www.youtube.com/watch?v=KJgPuDwygXA
  2. 『行き止まりの世界に生まれて』http://bitters.co.jp/ikidomari/
  3. 『さよならテレビ』https://sayonara-tv.jp/
  4. 『佐々木、イン、マイマイン』https://sasaki-in-my-mind.com/
  5. 『なぜ君は総理大臣になれないのか』http://www.nazekimi.com/
  6. 『アルプススタンドのはしの方』https://alpsnohashi.com/
  7. 『セメントの記憶』https://www.sunny-film.com/cementkioku
  8. 『ようこそ映画音響の世界へ』http://eigaonkyo.com/
  9. 『ハニーランド 永遠の谷』http://honeyland.onlyhearts.co.jp/
  10. 『ヴァニタス』https://www.youtube.com/watch?v=dVtdAf1beG8
★松丸亜希子の2020 CINEMA10

コメント:新潟県長岡市に移住して7年目、県内から一歩も出なかった2020年。コロナ旋風が吹き荒れる直前に骨折を初めて経験し、全身麻酔での手術を経て車椅子・松葉杖生活、リハビリに追われた上半期でした。入院中もステイホーム中もネット配信の映画やドラマを観まくりましたが、このラインナップは劇場に足を運んで観た作品を観賞順に並べたもの。11・12月は諸事情でまたもや外出がままならず、各種ハードルがあった中で秀逸な作品群に出合えたことに感謝です。

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『MOTHER マザー』(c)2020「MOTHER」製作委員会
  1. 『パラサイト 半地下の家族』http://www.parasite-mv.jp
  2. 『ミッドサマー』https://www.phantom-film.com/midsommar/
  3. 『デッド・ドント・ダイ』https://longride.jp/the-dead-dont-die/
  4. MOTHER マザー』https://mother2020.jp
  5. 『宇宙でいちばんあかるい屋根』https://uchu-ichi.jp
  6. 『はちどり』https://animoproduce.co.jp/hachidori/
  7. 『行き止まりの世界に生まれて』http://bitters.co.jp/ikidomari/
  8. 『星の子』https://hoshi-no-ko.jp
  9. 『スパイの妻 劇場版』https://wos.bitters.co.jp
  10. 『朝が来る』http://asagakuru-movie.jp
★前田圭蔵の2020 CINEMA10

コメント:コロナ禍が世界中を覆った2020年。流行語大賞にもなった「三密」回避とソーシャル・ディスタンスの確保が求められ、映画や舞台、音楽にとっても苦しい状況がまだまだ続く。ステイ・ホームの時間が増えはしたが、脚光を浴びることになった配信動画を見る機会は意外と増えなかった。むしろ、少しでも外界と繋がっていたいという欲求がふつふつと湧き上がり、散歩をしたり、自転車で徘徊したりする時にこそ大きな喜びを感じる。2020年の僕のベスト・フィルムは、キム・ボラ監督作「はちどり」。物語も、登場人物も、カメラワークも刺さりまくった。フィルム作品では無いが、大好きなNHKTV番組「ドキュメント72時間」の「としまえん 日本最古の回転木馬の前で」も泣けました。そして、東京フィルメックス特別企画として上映されたマノエル・ド・オリヴェイラ監督『繻子の靴』を見逃したので、映画館での上映希望です!(リストは順不同)

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(C)2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
  1. 『はちどり』https://animoproduce.co.jp/hachidori/
  2. 『白い暴動』http://whiteriot-movie.com/
  3. 『ペイン・アンド・グローリー』https://pain-and-glory.jp/
  4. 真夏の夜のジャズ 4K』http://cinemakadokawa.jp/jazz4k/
  5. 『衝動ー世界で唯一のダンサオーラ』https://impulso-film.com/
  6. 『ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ』http://phantom-film.com/lastblackman-movie/
  7. 『音響ハウス Melody Go Roundhttps://onkiohaus-movie.jp/
  8. BOLThttp://g-film.net/bolt/
  9. 『イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出作品 上映会』東京芸術祭2020』https://tokyo-festival.jp/2020/Ivo_Van_Hove
  10. 『セノーテ』http://aragane-film.info/cenote/
★白坂由里の2020 CINEMA10

コメント:雲間から光。厄災後の寓話のような『ホモ・サピエンスの涙』には、神を信じられなくなって精神科に通う神父が登場する。「神様が考えてくれないなら、こっちで考えるしかないでしょ」とは『海街diary』の加瀬亮のセリフだが、10本ともそういう映画です(笑)。1)ロイ・アンダーソン、2)中尾広道、3)岩井澤健治の止むに止まれぬ手の仕事に胸熱。規格化への抵抗のよう。5)は仲間のスケートビデオを撮った12年がラストベルトを映す鏡に。『mid90s ミッド・ナインティーズ』とセットで。6)と7)は「声」に耳を傾け、自分で言葉を探す映画。8)は家族への優しい嘘のために履き慣れぬ靴で走るオークワフィナに涙。10)のジョー、そしてグレタ・ガーウィグシアーシャ・ローナンのコンビに晴れ晴れとした気分に。全体的に、芸術と家族と経済、家族と自分と時間の関係について考えることが多かったです。(リストは順不同)

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(C)Studio 24
  1. ホモ・サピエンスの涙』http://www.bitters.co.jp/homosapi/
  2. 『おばけ』https://wubarosier.tumblr.com/
  3. 『音楽』http://on-gaku.info/
  4. 『詩人の恋』https://shijin.espace-sarou.com/
  5. 『行き止まりの世界に生まれて』http://www.bitters.co.jp/ikidomari/
  6. 『空に聞く』https://www.soranikiku.com/
  7. 『春を告げる町』https://hirono-movie.com/
  8. 『フェアウェル』http://farewell-movie.com/
  9. 『凱里ブルース』https://www.reallylikefilms.com/kailiblues
  10. 『ストーリー・オブ・マイライフ 若草物語https://bd-dvd.sonypictures.jp/storyofmylife/
 ★フジカワPAPA-Qの2020 CINEMA10

コメント:音楽関連映画。1:ロビー・ロバートソンの自伝を元にした彼等の歴史。2:生演奏もある岩手県一関市の世界的ジャズ喫茶に集うジャズ人。3:ハチャメチャSFコメディ。キアヌ・リーヴステルミンを演奏する。4:グレース・ジョーンズ素敵。「リベルタンゴ」が何度も流れる。5:昭和歌謡を歌う、のんが最高!6:マイルス・デイヴィスの真実を歴史的映像、関係者の証言で記録。7:1958年の音楽祭。動くセロニアス・モンクエリック・ドルフィー等!8:モータウンの初期デトロイト時代の約10年の記録。9:ジョン・ケージビートルズも登場して驚き。10:  REALKYOTOの浅田彰さんの評論で知った。テオドール・クルレンツィスとムジカエテルナのベートーヴェン第九の演奏を中心とした約30分の哲学的記録映像。(リストは題名五十音順)

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(C)2019 Motown Film Limited. All Rights Reserved
  1. ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』https://theband.ayapro.ne.jp/
  2. 『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』https://www.uplink.co.jp/Basie/
  3. 『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え』https://www.phantom-film.com/billandted/
  4. ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』http://helmutnewton.ayapro.ne.jp
  5. 『星屑の町』https://hoshikuzu-movie.jp
  6. マイルス・デイヴィス クールの誕生』https://www.universal-music.co.jp/miles-davis-movie/
  7. 真夏の夜のジャズ 4K』http://cinemakadokawa.jp/jazz4k/
  8. 『メイキング・オブ・モータウンhttp://makingofmotown.com
  9. 『ようこそ映画音響の世界へ』http://eigaonkyo.com
  10. 『プランB』https://www.youtube.com/watch?v=TasClnikg0o
★福嶋真砂代の2020 CINEMA10

コメント:大変なコロナイヤーも、振り返ると3月まではコンスタントに試写室のイスを温め、後半オンライン環境に変わっても充実の出会いは続いた。1)はド・ストライクなイーストウッドの真髄みたり。2)の山トリロジー、牧歌的と思ったら急激な不協和音に心がザワつく怪作。3)はダンサオーラインプルソに自分的踊り子ダマシイが疼くのだ。4)はいい意味で“異質な”女優、モトーラ世理奈を発見。 5と7)はドキュメンタリーの底力、両監督インタビューも実り多く。6)は大倉と成田が体当たりする切ない純愛にキュン死、海辺シーンも痺れる。映画の醍醐味とはまさに8と9)のこと。10)は映像の魔術師、ロイ・アンダーソンの凝り凝りの世界が好きすぎる。(リストは鑑賞順)

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(C)水城せとな小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
  1. 『リチャードジュエル』https://wwws.warnerbros.co.jp/richard-jewelljp/
  2. 『山の焚き火』https://gnome15.com/mountain/
  3. 『衝動ー世界で唯一のダンサオーラ』https://impulso-film.com/
  4. 『風の電話』http://www.kazenodenwa.com/
  5. 『空に聞く』https://www.soranikiku.com/
  6. 『窮鼠はチーズの夢を見る』https://www.phantom-film.com/kyuso/
  7. 『精神0』https://www.seishin0.com/
  8. 『デッド・ドント・ダイ』https://longride.jp/the-dead-dont-die/
  9. 『スパイの妻 劇場版』https://wos.bitters.co.jp/
  10. ホモサピエンスの涙』http://www.bitters.co.jp/homosapi/

 

●選者プロフィール(原稿順)

・澤隆志:2000年から2010年までイメージフォーラム・フェスティバルのディレクターを務める。現在はフリーランス。パリ日本文化会館、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館青森県立美術館などと協働キュレーション多数。「めぐりあいJAXA」(2017-)「写真+列車=映画」(2018)などプロデュース。

・石井大吾:fuse-atelier、blue studioを経て2008年よりDaigo Ishii Designとして活動開始。建築、インテリア、家具などのデザインを手がける。2009-2015年には中野にてgallery FEMTEを運営。 2018年からは株式会社アットカマタの活動にも参加している。2019年、京急梅屋敷にKOCA(koca.jp)をオープン。https://www.daigoishii.com/

・松丸亜希子:1996年から2005年までP3 art and environmentに在籍した後、出版社勤務を経てフリーの編集者に。P3在職中に旧REALTOKYO創設に携わり、2016年まで副編集長を務める。2014年夏から長岡市在住。

・前田圭蔵:世田谷美術館学芸課を経て、80年代後半より音楽やコンテンポラリー・ダンスを中心に舞台プロデュースを手掛ける。F/T11、六本木アートナイト、あいちトリエンナーレ2013パフォーミング・アーツ部門プロデューサーなどを歴任。現在は東京芸術劇場に勤務。旧realtokyo同人。

・白坂由里:神奈川県生まれ、小学生時代は札幌で育ち、現在は千葉県在住。『WEEKLYぴあ』を経て1997年からアートを中心にフリーライターとして活動。学生時代は『スクリーン』誌に投稿し、地元の映画館でバイトしていたので、いまも映画に憧れが……。

・フジカワPAPA-Q:選曲家、DJ、物書き、制作者等。NHK-FMゴンチチさんの番組「世界の快適音楽セレクション」選曲構成。コミュニティ放送FM小田原の番組制作者として、巻上公一さん等の番組担当。フジロックで開催のNO NUKESイベント「アトミックカフェ・トーク&ライブ」(MCは津田大介さん)制作。等々色々活動中。

・福嶋真砂代:RTC(REALTOKYO CINEMA )主宰。航空、IT、宇宙業界を経てライターに。『ほぼ日刊イトイ新聞』の「ご近所のOLさんは、先端に腰掛けていた。」などコラム寄稿(1998-2008)。黒沢清諏訪敦彦三木聡監督を迎えたトークイベント「映画のミクロ、マクロ、ミライ」コーディネーター&MC(2009)。旧Realtokyo(2005年から)と現RealTokyoにも寄稿。

realtokyocinema.hatenadiary.com