タンゴの革命者、アストル・ピアソラの生涯を描く
タンゴのバンドネオン奏者、作曲家アストル・ピアソラ(1921〜1992)の生涯を描いたドキュメンタリー映画が公開中だ。ピアソラは幼少期にニューヨークへ移住し、バンドネオンという楽器に出会う。十代で帰国しタンゴ楽団に加入後、自分の楽団で作曲活動、そして1954年にパリへ留学して高名な音楽教育者ナディア・ブーランジェに師事するが、タンゴに進む様に指導された事が転機となる。パリから戻ると新たに楽団を結成するが前衛的な音楽は賛否両論を呼び、58年にニューヨークへ。帰国後、精力的に活動するも75年にイタリアへ移り、90年にパリの自宅で倒れ帰国するが92年にブエノスアイレスで死去。
監督は、アルゼンチンのドキュメンタリー作家ダニエル・ローゼンフェルドで、2002年に監督した著名なバンドネオン奏者ディノ・サルーシの映画がベルリンやニューヨークの映画祭で上映された実力派。その映画を見たピアソラの息子で唯一の肉親であるダニエルが、父親のピアソラについての映画を監督に依頼した事から始まったという。
映画の中に写真家ソール・ライターの作品が出てくるが、これはニューヨークの通りですれ違ったかもしれないピアソラとライターという2人の異人的芸術家への監督の想いか。ヨーヨー・マ、ウォン・カーウァイばかりか、クロノス・カルテット、ギドン・クレーメル、キップ・ハンラハンも愛するピアソラの音楽、「リベルタンゴ」「アディオス・ノニーノ」などもたっぷり堪能できる異色作だ。
フジカワPAPA-Q ★★★★.5
Information:
監督:ダニエル・ローゼンフェルド
出演:アストル・ピアソラほか
配給:東北新社 クラシカ・ジャパン
国際共同製作:クラシカ・ジャパン
後援:アルゼンチン共和国大使館
2017/フランス・アルゼンチン/英語・フランス語・スペイン語/カラー(一部モノクロ)/94分
Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開中!
公式サイト: