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REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Review 016『サクロモンテの丘〜ロマの洞窟フラメンコ』

Review

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監督:チュス・グティエレス/スペイン/2014年/94分

2017年2月18日(土)より有楽町スバル座アップリンク渋谷ほか全国順次公開

洞窟フラメンコを知る、教科書的で質の高い「芸術」ドキュメンタリー

このドキュメンタリーの魅力は、なんと29名もの老若男女アーティストたちがその素晴らしいフラメンコの才能を次から次へと、洞窟住居のリビングのような部屋で披露してくれること。サクロモンテ案内役のクーロ・アルバイシンを始め、クーロとユニットを組んできたラ・モーナ、ラ・ポロナ、ライムンド・エレディア、ニーニョ・デ・オスナ等々洞窟出身のスター達が大集合する。グラナダ出身のチュス・グティエレス監督が12歳の時、両親の家のパーティで踊るクーロ・アルバイシンと出会い、また20年後に再会したことでサクロモンテについての映画を撮るべきだと確信した。サクロモンテの丘に住むロマ(ヒターノ)の歴史、洞窟生活の様子、歌や踊りを見せるタブラオの始まりと発展、フラメンコの世界的発展、戦中戦後、そして1963年の洪水の惨劇とそれ以降の洞窟生活者たちの動向を、アーティストたちへのインタビューとパフォーマンスによってゆっくりとたどる。すでに1963年以前の洞窟の暮らしを語る人が少なくなっていく現在において、この映画は洞窟で生まれたフラメンコのルーツ的な記録を残す貴重な貴重な仕事だ。インタビューの話の内容を想起させる多くの古い映像のインサートで、貧しく厳しい時代、それでも力を合わせて強く生きるヒターノの暮らしぶりが蘇る。フラメンコ(の歌詞)がいかに人々の生活そのもの、上から下まで、実に人間的に、そしてロマンチックに歌われてきたかがよく伝わる。また、フラメンコは、貧しく教育もままならなかった彼らの生活の糧として、大切なファミリービジネスのひとつとして育ってきた。だからこそ、ダンサー(バイラオール、バイラオーラ)の後ろにはギタリスト、カンタオーラ、カンタオール、カスタネットパルマ、ハレオなどずらりと囲むように並ぶ(祖父、祖母、父、母、叔母、叔父、娘、息子、孫・・・)フォーメーションになる、理由がわかったような気がする。それにしても隣近所、おじちゃんもおばちゃんもみんな踊り歌うとプロの技という環境は凄い。冒頭の、クーロとラ・モーナが絶景をバックに舞うシーンは圧巻だ。他にも洞窟住居(博物館?)で披露される華麗なパフォーマンスをたっぷりたっぷり楽しむことができる。教科書的であるとともにかなりの「芸術」として素晴らしいドキュメンタリーだ。再びサクロモンテとその文化、芸術の威力が見直され、輝く時代が来ることを祈る。(福嶋真砂代★★★1/2)

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映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』公式サイト