REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

Review

Review42『その手に触れるまで』

「絶望的な状況でも、人間の力を信じて模索する」ダルデンヌ兄弟最新作 文:福嶋真砂代 © Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF ベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟の最新監督作『その手に触れるまで』は、新型コロナウイルス…

Interview 013 想田和弘さん(『精神0』監督・製作・撮影・編集)インタビュー

「なんで生きるんだろう?」そんな疑問を抱き続けてきた 想田和弘監督の観察映画第9弾『精神0』が「仮設の映画館(http://www.temporary-cinema.jp/)」にて公開中(配信中)だ。新型コロナウイルスで世界が騒然とする中、新作を携えて来日した想田さんに…

TIFF Report: 『わたしの叔父さん』(第32回東京国際映画祭 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

人間にとって大切なものを静かに問いかける北欧映画 取材・文:福嶋真砂代 © 2019 88miles 第32回東京国際映画祭コンペティション部門 東京グランプリの栄冠に輝いたのはデンマークユトランド地方を舞台にした『わたしの叔父さん』。フラレ・ピーダセン監督…

Review41『37セカンズ』(第32回東京国際映画祭 Japan Now部門)

ユマの心意気がつくりだす優しいミラクル 文:福嶋真砂代 (C)37Seconds filmpartners 生まれた時に37秒間、呼吸が止まっていたことで身体に障害を負い、車椅子で生活する23歳のユマは、シングルマザーの母親とふたり暮らし。漫画家志望の彼女は友人のゴース…

Review 40『細い目』

金城武不在の“カネシロ映画”でヤスミン監督が見つめた「未来」とは 文:福嶋真砂代 「金城武」の引力でたどり着いた深いヤスミンの世界 2009年に51歳で急逝したマレーシアのヤスミン・アフマド監督の人気作品『細い目』(2005)は、これまでも特集上映や映画…

Review 39『ある船頭の話』レビュー& オダギリジョー監督インタビュー

桃源郷のような映像美にこもる深い思い @MasayoFukushima 「これが僕のひとつの答え」と語りだすまで、どれだけの痛みと試練を乗り超えたのだろうか。長編初監督作品『ある船頭の話』の公開を待つオダギリ ジョー監督に現在の心境を伺った。最近ではCMで演じ…

Review 38『ジョアン・ジルベルトを探して』

ボサノヴァの始祖、ジョアン・ジルベルトを求める旅 ©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018 アントニオ・カルロス・ジョビン(作曲家、ピアニスト)、ヴィニシウス・ヂ・モライス(作詞家)と共にボサノヴァを創始した、ブラジルの歌手、ギタリスト…

Review 37『僕はイエス様が嫌い』

ミニマルな語り口に宿る深い思慮、祈り ©︎2019 閉会宣言 公開中の『僕はイエス様が嫌い』(英語タイトル「JESUS」)は、弱冠22歳(制作当時)の奥山大史(おくやまひろし)が監督、脚本、撮影、編集を手がけた長編デビュー作。第19回東京フィルメックスに出…

Review 36『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

ニューヨーカー気分で体験する“進化系図書館” © 2017 EX LIBRIS Films LLC – All Rights Reserved 本作が42本目のドキュメンタリー作品となる巨匠監督、フレデリック・ワイズマンが誘(いざな)うのは、超有名な観光スポットでもある「ニューヨーク公共図書…

Review 35『ワイルドツアー』

© Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM] RealTokyoに『ワイルドツアー』レビューを寄稿しました。 「青春のきらめく瞬間(トキ)をつかまえて」 山口県山口情報芸術センター[YCAM]、磯崎新設計による建物の流線型の屋根の上を若者たちがスイスイ歩き…

Review 34 『マイ・ブックショップ』

コイシェ監督が共感した「自分らしさ」貫く女性の生き方 © 2017 Green Films AIE, Diagonal Televisió SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd. 映画の原作、ペネロピ・フィッツジェラルドの小説「The Bookshop」を読んだイザベル…

Review 33『バハールの涙』

©2018 – Maneki Films – Wild Bunch – Arches Films – Gapbusters – 20 Steps Productions – RTBF (Télévision belge) RealTokyoに『バハールの涙』レビューを寄稿しました。 「ヤズディの女性たちの恐怖と苦痛から目を背けてはならない」 実話に基づいて作…

TIFF Report :『三人の夫』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

香港からひとりの女優の強烈すぎる誕生を目撃 取材・文:福嶋真砂代 ©Nicetop Independent Limited 『ドリアン、ドリアン』(2000)、『ハリウッド★ホンコン』(2001)に続く、香港のフルーツ・チャン監督の「娼婦三部作(売春三部作とも)」を締めくくる『三…

Review 32『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』

タンゴの革命者、アストル・ピアソラの生涯を描く ©Daniel Rosenfeld /© Juan Pupeto Mastropasqua タンゴのバンドネオン奏者、作曲家アストル・ピアソラ(1921〜1992)の生涯を描いたドキュメンタリー映画が公開中だ。ピアソラは幼少期にニューヨークへ移…

Review 31 『エリック・クラプトン~12小節の人生~』

エリック・クラプトンを描く音楽ドキュメンタリー © BUSHBRANCH FILMS LTD 2017 夏にレコード屋でたまたま見つけたのがエリック・クラプトンのアルバム『LIFE IN 12 BARS』。映画『エリック・クラプトン 12小節の人生』のサントラ盤だった。彼の音楽人生の前…

TIFF Report :『ブラ物語』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー

字幕も翻訳もいらない、本当の意味でユニバーサルな映画が実現した ーー取材・文:福嶋真砂代 ©2018 Veit Helmer – Filmproduktion, Theo Lustig ©2018 Theo Lustig 空から舞い降りていく鳥のように、優しいバイオリンの響きに乗って、高原の小さな街に近づ…

Review 30 『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

© 2015 Moulins Films LLC All Rights Reserved RealTokyoに『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』レビューを寄稿しました。 「町が、世界が、ここに凝縮されて呼吸する」 フレデリック・ワイズマン監督が撮るニューヨーク、クィーンズのジャクソン…

Review 29『愛と法』

均質社会に問う、多様化に向かう覚悟と準備は? (C)Nanmori Films ドキュメンタリー映画『愛と法』は、大阪で「なんもり法律事務所」を経営する弁護士の南和行(カズ)と吉田昌史(フミ)が主人公。仕事でもプライベートでも共にパートナーであり、瀟洒な…

Review 28『オーケストラ・クラス』

音楽は素晴らしい。自由と希望の力をチャージする © 2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINÉMA / LA CITÉ DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS 遠くにエッフェル塔が見えるパリのビルの屋上で熱心にバイオリンを練習する少年、アーノルド。西ア…

Review 27『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス』

キューバの世界的音楽家集団よ、永遠に! © 2017 Broad Green Pictures LLC 米国の世界的音楽家ライ・クーダーが1996年にキューバに行き、ベテラン・ミュージシャン達と制作したアルバムが『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(以下BVSC)で、BVSCは彼等の…

Review 26『ユートピア』

仮想現実とこの世界はこうやってリアル融合する (C) UTOPIA TALC 2018 現在、下北沢トリウッドにて公開中のSFファンタジー映画『ユートピア』。伊藤峻太監督(『虹色☆ロケット』(2007))が、監督のほかに、脚本、編集、VFX、主題歌の作詞作曲を手がけてい…

Review 25『泳ぎすぎた夜』

ありえないほどの奇跡がおこる雪の日の冒険 (C)2017 MLD Films / NOBO LLC / SHELLAC SUD 実際に暮らしてみることで、その土地や街からインスピレーションを得て、物語を紡ぎ出す、そんなアプローチで撮られた『泳ぎすぎた夜』は、五十嵐耕平とダミアン・マ…

Report 9「めぐりあい JAXA 2018 -かぐやとだいちとわたしたち-」の観望会@せんがわ劇場(調布映画祭)

衛星『だいち』が捉えた地表(東北地方)、何を語る? 文:福嶋真砂代 2018年2月17日、せんがわ劇場にて「めぐりあいJAXA 2018 -かぐやとだいちとわたしたち」の観望会(調布映画祭)」が行われ、会場は宇宙ファンと地元のみなさんで満員になりました。昨年…

Review 25『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』

お笑いでオブラートし重病の核心に迫る (C)2017 WHILE YOU WERE COMATOSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. はたしてアメリカは目覚めることができるのか? はたまた重病のまま眠りについてしまうのか? そんなことを考えさせるタイトル「ビッグ・シック」とはな…

Review 26『ぼくの名前はズッキーニ』

辛く苦しい思いをしている子どもたちに贈る優しいエール(もちろんおとなへも) (C)RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016 大きな目、赤い鼻、青い髪…

Review 25『サファリ』

後味の悪さが癖になる、ザイドルのアフリカドキュメンタリー WDR Copyright © Vienna 2016 ▪️トロフィ・ハンターたちを粛々と狙う、ある意味ハンターなザイドル オーストリアのウルリヒ・ザイドル監督。フィクション『パラダイス3部作 愛/神/希望』でもユニ…

Review 24『ライオンは今夜死ぬ』(と「こども映画教室」)

映画の“ねんりき”が未知の扉をあける © 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BAL THAZAR-BITTERS END 南仏の陽光の中で語られる老いと死 マネかルノアールかセザンヌか、さながら印象派の絵画を思わせるような美しいポスタービジュアルに目を奪われる…

Report 08-2『天使は白をまとう』(東京フィルメックス2017、特別招待作品)

@22 HOURS FILMS 第18回東京フィルメックス(2017/11/18ー26)の中でもゾクゾクが止まらなかった作品。この映画に出会えてつくづくよかったと思ったことを記憶している。中国南部の海辺の町。リゾートっぽい風景だが、どこか寒々と寂れたロケーション。砂浜…

Report 08-1『ジョニーは行方不明』(東京フィルメックス2017 Q&A)

第18回東京フィルメックス(2017/11/18ー26)は25本の国内外の刺激的な作品が上映され、今年も豊かな実りを残した。(コンペティション部門の受賞結果) そのなかで個人的に特に印象に残った3本に絞ってご紹介。まずコンペティション部門『ジョニーは行方不…

Report 07『勝手にふるえてろ』レビュー&TIFF2017 記者会見レポート

コミカル&サブカルに描く、現代”絶滅危惧”女子の生態と幸福 ©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会 『勝手にふるえてろ』(大九明子監督・脚本)が第30回東京国際映画祭コンペティション部門にてワールドプレミア上映され、記者会見が行われた。綿矢りさ…