REALTOKYO CINEMA

リアルトウキョウシネマです。映画に関するインタビュー、レポート、作品レビュー等をお届けします。

M.Fukushima

Review 40『細い目』

金城武不在の“カネシロ映画”でヤスミン監督が見つめた「未来」とは 文:福嶋真砂代 「金城武」の引力でたどり着いた深いヤスミンの世界 2009年に51歳で急逝したマレーシアのヤスミン・アフマド監督の人気作品『細い目』(2005)は、これまでも特集上映や映画…

Review 39『ある船頭の話』& オダギリジョーさんインタビュー

桃源郷のような映像美にこもる深い思い @MasayoFukushima まるで桃源郷のような映像美に見惚れてしまう。山あいをゆったり流れる川、その透き通る水に山々の鮮やかな蒼が映り込む。新潟県阿賀町で撮られた風景は日本でありながらどこか無国籍、もしや別の惑…

Interview 012ピート・テオインタビュー(「伝説の監督 ヤスミン・アフマド特集」&『自由行』)

僕の問題は「ノー」と言えないことかな ピート・テオさん シアター・イメージフォーラムで開催中(7/20~8/23)の「伝説の監督 ヤスミン・アフマド特集」に際して来日したピート・テオ(『グブラ』楽曲、『タレンタイム』楽曲&音楽)にインタビューした。映画…

Review 37『僕はイエス様が嫌い』

ミニマルな語り口に宿る深い思慮、祈り ©︎2019 閉会宣言 公開中の『僕はイエス様が嫌い』(英語タイトル「JESUS」)は、弱冠22歳(制作当時)の奥山大史(おくやまひろし)が監督、脚本、撮影、編集を手がけた長編デビュー作。第19回東京フィルメックスに出…

Review 36『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

ニューヨーカー気分で体験する“進化系図書館” © 2017 EX LIBRIS Films LLC – All Rights Reserved 本作が42本目のドキュメンタリー作品となる巨匠監督、フレデリック・ワイズマンが誘(いざな)うのは、超有名な観光スポットでもある「ニューヨーク公共図書…

Review 35『ワイルドツアー』

© Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM] RealTokyoに『ワイルドツアー』レビューを寄稿しました。 「青春のきらめく瞬間(トキ)をつかまえて」 山口県山口情報芸術センター[YCAM]、磯崎新設計による建物の流線型の屋根の上を若者たちがスイスイ歩き…

Review 34 『マイ・ブックショップ』

コイシェ監督が共感した「自分らしさ」貫く女性の生き方 © 2017 Green Films AIE, Diagonal Televisió SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd. 映画の原作、ペネロピ・フィッツジェラルドの小説「The Bookshop」を読んだイザベル…

Review 33『バハールの涙』

©2018 – Maneki Films – Wild Bunch – Arches Films – Gapbusters – 20 Steps Productions – RTBF (Télévision belge) RealTokyoに『バハールの涙』レビューを寄稿しました。 「ヤズディの女性たちの恐怖と苦痛から目を背けてはならない」 実話に基づいて作…

TIFF Report :『三人の夫』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー&記者会見レポ

香港からひとりの女優の強烈すぎる誕生を目撃 取材・文:福嶋真砂代 ©Nicetop Independent Limited 『ドリアン、ドリアン』(2000)、『ハリウッド★ホンコン』(2001)に続く、香港のフルーツ・チャン監督の「娼婦三部作(売春三部作とも)」を締めくくる『三…

Report: 『自由行』Q&A(東京フィルメックス2018、コンペティション)

この作品を作ることで変革を起こしたい 第19回東京フィルメックスにて上映された『自由行』は、中国から自主亡命しているイン・リャン監督が自身の経験をもとに描いた意欲作。物語は、香港に住む映画監督のヤンが、広告の職を辞したフリーの夫と幼い息子を伴…

TIFF Report :『ブラ物語』(東京国際映画祭2018 コンペティション部門)レビュー

字幕も翻訳もいらない、本当の意味でユニバーサルな映画が実現した ーー取材・文:福嶋真砂代 ©2018 Veit Helmer – Filmproduktion, Theo Lustig ©2018 Theo Lustig 空から舞い降りていく鳥のように、優しいバイオリンの響きに乗って、高原の小さな街に近づ…

TIFF Report:Japan Now 「映画俳優、役所広司」黒沢清&役所広司トークイベント(『CURE』)

“この社会でストレスがまったくない人間というのはこんなにも恐ろしいのか......” ーー取材・文: 福嶋真砂代 @realtokyocinema2018 第31回東京国際映画祭のJapan Now部門 特集企画「映画俳優 役所広司」のなかで『CURE』(黒沢清監督/1997)が上映され、黒沢…

Review 30 『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

© 2015 Moulins Films LLC All Rights Reserved RealTokyoに『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』レビューを寄稿しました。 「町が、世界が、ここに凝縮されて呼吸する」 フレデリック・ワイズマン監督が撮るニューヨーク、クィーンズのジャクソン…

Review 29『愛と法』

均質社会に問う、多様化に向かう覚悟と準備は? (C)Nanmori Films ドキュメンタリー映画『愛と法』は、大阪で「なんもり法律事務所」を経営する弁護士の南和行(カズ)と吉田昌史(フミ)が主人公。仕事でもプライベートでも共にパートナーであり、瀟洒な…

Review 26『ユートピア』

仮想現実とこの世界はこうやってリアル融合する (C) UTOPIA TALC 2018 現在、下北沢トリウッドにて公開中のSFファンタジー映画『ユートピア』。伊藤峻太監督(『虹色☆ロケット』(2007))が、監督のほかに、脚本、編集、VFX、主題歌の作詞作曲を手がけてい…

Review 25『泳ぎすぎた夜』

ありえないほどの奇跡がおこる雪の日の冒険 (C)2017 MLD Films / NOBO LLC / SHELLAC SUD 実際に暮らしてみることで、その土地や街からインスピレーションを得て、物語を紡ぎ出す、そんなアプローチで撮られた『泳ぎすぎた夜』は、五十嵐耕平とダミアン・マ…

Review 25『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』

お笑いでオブラートし重病の核心に迫る (C)2017 WHILE YOU WERE COMATOSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. はたしてアメリカは目覚めることができるのか? はたまた重病のまま眠りについてしまうのか? そんなことを考えさせるタイトル「ビッグ・シック」とはな…

Review 26『ぼくの名前はズッキーニ』

辛く苦しい思いをしている子どもたちに贈る優しいエール(もちろんおとなへも) (C)RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016 大きな目、赤い鼻、青い髪…

Review 25『サファリ』

後味の悪さが癖になる、ザイドルのアフリカドキュメンタリー WDR Copyright © Vienna 2016 ▪️トロフィ・ハンターたちを粛々と狙う、ある意味ハンターなザイドル オーストリアのウルリヒ・ザイドル監督。フィクション『パラダイス3部作 愛/神/希望』でもユニ…

Review 24『ライオンは今夜死ぬ』(と「こども映画教室」)

映画の“魔法”が未知の扉をあける © 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BAL THAZAR-BITTERS END 南仏の陽光の中で語られる老いと死 マネかルノアールかセザンヌか、さながら印象派の絵画を思わせるような美しいポスタービジュアルに目を奪われる諏訪…

Report 08-2『天使は白をまとう』(東京フィルメックス2017、特別招待作品)

@22 HOURS FILMS 第18回東京フィルメックス(2017/11/18ー26)の中でもゾクゾクが止まらなかった作品。この映画に出会えてつくづくよかったと思ったことを記憶している。中国南部の海辺の町。リゾートっぽい風景だが、どこか寒々と寂れたロケーション。砂浜…

Report 08-1『ジョニーは行方不明』(東京フィルメックス2017 Q&A)

第18回東京フィルメックス(2017/11/18ー26)は25本の国内外の刺激的な作品が上映され、今年も豊かな実りを残した。(コンペティション部門の受賞結果) そのなかで個人的に特に印象に残った3本に絞ってご紹介。まずコンペティション部門『ジョニーは行方不…

Review 23『ダイ・ビューティフル』

(C)The IdeaFirst Company Octobertrain Films 監督:ジュン・ロブレス・ラナ 出演:パオロ・バレステロス クリスチャン・バブレス グラディス・レイエス ジョエル・トーレ配給:ココロヲ・動かす・映画社 ◯120分/カラー/フィリピン語(日本語・英語字幕付き…

Review 22『残像』

(C)2016 Akson Studio Sp. z o.o, Telewizja Polska S.A, EC 1 – Lodz Miasto Kultury, Narodowy Instytut Audiowizualny, Festiwal Filmowy Camerimage- Fundacja Tumult All Rights Reserved. アンジェイ・ワイダ監督の「遺言」の今日的意味 2016年10月、9…

Review 20『午後8時の訪問者』

(C)LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINEMA - VOO et Be tv - RTBF (Television belge) 監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、 リュック・ダルデンヌ撮影:アラン・マルコアンキャスト:アデル・エネルオリヴィエ・ボノー…

Review 18『息の跡』

(C) 2016 KASAMA FILM+KOMORI HARUKA 監督・撮影・編集:小森はるか出演:佐藤貞一2016年/93分/HD/16:9/日本/ドキュメンタリー ポレポレ東中野、2週間の上映期間延長が決定 弱冠23歳、「豆粒」と呼ばれた監督の骨太な劇場長編デビュー作 これは「たね屋」…

Review 16『サクロモンテの丘〜ロマの洞窟フラメンコ』

監督:チュス・グティエレス/スペイン/2014年/94分 2017年2月18日(土)より有楽町スバル座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開 洞窟フラメンコを知る、教科書的で質の高い「芸術」ドキュメンタリー このドキュメンタリーの魅力は、なんと29名もの老若男…

Review 14『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』

(C)21Unoproductions_Stemalentertainement_LesFilmsdIci_ArteFranceCinema 監督:ジャンフランコ・ロージ 2016年/イタリア=フランス/114分配給:ビターズ・エンド2017年2月11(土・祝)ロードショー 難民が上陸するイタリアの小さな島の日常を見つめる冷静な…

Review 13『パリ、恋人たちの影』

(C)2014 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA 監督・脚本:フィリップ・ガレル共同脚本:ジャン=クロード・カリエール撮影:レナート・ベルタ出演:クロティルド・クロー、スタニスラス・メラール、レナ・ポーガム2015年/フ…

Review 12『ブラインド・マッサージ』

監督:ロウ・イエ 原作:ビー・フェイユイ著「ブラインド・マッサージ」(飯塚容訳/白水社刊)脚本:マー・インリー撮影監督:ツォン・ジェンキャスト:ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティン、ホアン・ルー、チャン・レイ他2014/中…